1月 10, 2024 20:51 Asia/Tokyo

ペルシア語で「タズヒーブ」と呼ばれる彩飾は、文学作品や歴史的文献といった書物によく用いられていた、イランの芸術の基礎ともいえる技術の 1 つです。イランの芸術家は長年、建築物、写本、器などの作品の芸術的装飾としてこの技術を用いてきました。

多くの人々は、彩飾が書物の中でのみ見られると考えています。しかし、この技術が使われているのは書物だけではありません。

11世紀~12世紀のセルジューク朝時代、および13世紀のイルハン朝時代のイランでは、陶器や金属器に非常に美しい模様を施していました。このような装飾の図柄は、次第に写本の装飾にも用いられるようになっていきました。

彩飾の起源は、シーア派初代イマーム・アリーがコーランの写本を作成した際、本文の脇に小さな装飾を施したことが始まりだったという言い伝えもあります。

彩飾技術で使用されるのは、水彩、ガッシュ、金箔・金泥などの彩色材料、そしてコンパスや定規といった幾何学図形を引く製図用具などです。

芸術家たちはその昔、猫の毛などを使って自ら筆を作っていました。また当時使われていた伝統的な絵具や塗料は、自然物や鉱物から作られたものでした。

しかし現在は、化学的に作られ販売されている絵具が一般的になっています。

彩飾技術は今日、主に2つの場で用いられています。

その1つは、絵画作品を縁取る装飾 、もう1つは、従来から同様の書物の装飾です。

現在イランに存在する素晴らしい彩飾作品は、この分野の先駆者である芸術家たちの手による成果が集約されたものだと言えるでしょう。

 


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