イラン人技術者により行われた、スリランカの大規模な水力発電プロジェクト
スリランカのウマオヤ水力発電プロジェクトは、その全てがイラン企業により実施され、ダム建設、水資源移動、発電の分野でイランが行った技術・エンジニアリングサービス輸出の一例に数えられます。同プロジェクトは近日、両国関係者の立会いの下に操業が開始されることになっています。
スリランカの首都コロンボから東方230キロの場所で進められているウマオヤ水力発電プロジェクトでは、同国ウバ州にある河川の余剰水を農業開発のために州内の水が少ない地域へ移す作業を行っています。
また、これが達成されると同時に、発電能力120メガワットの地下発電所でエネルギー生産も行われることになっています。
同プロジェクトは、年間290ギガワット時のエネルギー生産、スリランカ南東部の乾燥地域5000ヘクタールへの農業用水供給、雨の多い地域から乾燥地域への1億4500万立方メートルの水の移送などの目的で実施されていますが、イラン企業のファルアーブ社と、スリランカに派遣されたイラン人専門家および技術者の努力によって、実施・操業の段階に達しています。
このプロジェクトには、高圧湧水も存在する非常に困難な地質条件であるにもかかわらず、2台のTBM・トンネルボーリングマシンを用いて中間ポイントを設けず24キロのトンネルを掘削し、水力発電所としては世界最長のひとつに数えられる長さ618メートルのトンネルシャフトを設置するという工程がありましたが、このトンネルシャフトの金属製カバーは重量が約1000トンあり、これを垂直に吊り下げながら、地下750メートルの空間にある発電所に設置するという作業は、技術的にまれに見るものとなりました。
ウマオヤ水力発電プロジェクトに携わったイラン人監督者は2022年、地域社会への責任ある姿勢が評価され、社会的責任者に与えられる上級勲章を授与されました。
同プロジェクトはまた、ITA国際トンネル協会が選ぶトンネル大賞の年間最優秀プロジェクト(工事規模5000万ユーロ~5億ユーロ)部門2020年度最終候補にもノミネートされました。
イランは水産業・電力産業を主導する国であり、その関連技術やサービスの輸出シェアは、西アジアで首位となっています。
また、発電プラント用部品についても、91%超を国内で製造しているほか、そのひとつであるタービンの製造では世界第5位となっています。
さらにイランは、灌漑排水網、トンネル、ダム建設といった水資源管理設備に必要とされる技術的・工学的能力の全てを備え、その力は世界でも第4位に位置しています。
なお、イスラム革命勝利以前のイランは、水関連プロジェクトを実施するだけの技術的・工学的能力を持たず、外国企業に依存していました。