世銀、「ライースィー・イラン政権は経済面で成功」
世界銀行がイラン経済の実績に関する最新の評価を発表し、同国ライースィー政権が経済分野で成果を挙げたとしました。
この報告書では、経済制裁の継続や地政学的な不確実性の加速にも関わらず、イラン経済が過去4年間コンスタントに成長を遂げていると述べられています。この成長には石油部門が寄与してきた一方で、特にサービス・工業部門をはじめとした非石油部門が経済成長の主な原動力となってきました。
生産部門は国内需要の確保に向けて推進されており、これにより金融制裁や貿易制裁、エネルギー資源へのアクセス制限の影響がある程度無効化された形となっています。
雇用部門も、最近ではコロナ危機前の水準に回復しています。特に社会保障や現金補助の送金・配布分野における新たな財政政策は、社会的弱者層の生活水準に対する外的ショックの影響を軽減するとともに、持続可能な経済成長に寄与しました。
経済成長率は5.1%、失業率は7.6%に
世銀はイラン経済におけるライースィー政権の成功の詳細を指摘し、「主に石油・サービス分野の業績の結果、2023年から2024年上半期のイランの経済成長率は5.1%に達した。世界市場での供給不足とイラン第13期政権の輸出市場開発の成功により、同国石油部門の付加価値は17.1%に達した」としています。
また非石油部門も3.8%という高い伸びを示したことから、雇用はコロナ危機前の水準に達しました。雇用創出は2.9%増加し、失業率は7.6%と新記録をマークしています。
ライースィー政権は貧困を緩和
2020年から2021年、そして2022年から2023年にかけての経済回復に伴い、イランの貧困は減少しました。貧困率は2年間で7.4%減少し、貧困ライン以下の人口は2.2%減少しています。
不平等が減少し、ジニ係数は34.8%に低下
2020〜2021年、並びに2022〜2023年の間、下位0.4%の人々は上位0.6%の人々と比べてより高い消費拡大を見せており、このことはイランにおける不平等の縮小を示しています。また、ジニ係数は35.8%から34.8%に減少しました。
加えて賃金の上昇、雇用の増大、現金による補助金の配布が組み合わさったことは、イランの消費拡大と貧困緩和を後押ししました。
インフレ率は引き続き下降
この報告書はさらに、イラン経済の展望について概説しており、同国の経済成長率が2024〜2025年と2025~2026年には2.8%に達するとの予測を示しています。
一方で、2023~2024年に見られた石油生産と輸出の大幅な増加は、この期間には鈍化すると予想されており、この問題は非石油部門にも影響を与えると見られます。また、インフレ率は引き続き低下傾向にあります。
そして経常収支は黒字状態にありますが、国際物価の下落や国際市場での競争の影響を受けて、徐々に黒字額が減少すること必至と見られます。また、貧困は今後も引き続き減少していくと予想されます。