イラン外相が訪中:西側中心・一極主義に対抗
-
イランのアラーグチー外相と中国の王毅外相
イランのアラーグチー外相が27日、中国を訪問し、王毅外相らと会談しました。
【ParsTodayイラン】アラーグチー氏が中国を訪問するのは、外務次官時代の2019年に核合意関連会合に出席するために訪れて以来です。
イランのコッズ紙はアラーグチー外相の今回の訪中について「地域・国際情勢とイラン・中国の2国間関係」について話し合われると報じました。
歴史の正しい側
アラーグチー氏は今回の訪中に際して、中国紙「人民日報」に寄稿し、「イランと中国は一極主義に対抗するため、グローバルサウス諸国間の発展、福祉、協力拡大を支持し、歴史の正しい側に立ち続ける」「イラン・中国関係は黄金の半世紀を迎える。今回の訪問は両国関係の新時代の幕開けを象徴するものだ」と記しました。
戦略的関係への発展
アラーグチー氏の表明は、イランの中国に対する行動主義的なアプローチとその現実的姿勢への評価と一致します。
前駐中国大使のジャヴァード・マンスーリー氏はコッズ紙への寄稿で「イランと中国の関係は長年に及ぶもので、多くの分野で共通の利益を有している。現在両国は、潜在的関係を行動に移すことに関心を持っている。2021年に調印された25カ年包括協力協定は、両国関係を戦略レベルに引き上げることを目的としたものだ」と記しました。
マンスーリー氏はまた、イランの核問題について「欧米の敵対的姿勢に対抗する共通理解を得るために、中国との対話が今後も行われていくだろう。アラーグチー氏の言うように、核問題はより多くの協議が必要だ。今回の訪問ではより大局的観点での話し合いが行われるのではないか。それは現在の世界情勢からして、中国側も同じような対話を必要としているからだ」としました。
イランは西側諸国を待つことはない
改革派と言われるイランのペゼシュキヤーン政権については、西側諸国との関係修復を目指しているという指摘が多くあります。しかし、欧米は依然として敵対的姿勢を続け、7月のペゼシュキヤーン政権発足後もイランに新たな制裁を発動したため、そうした希望的観測は雲散霧消しました。
今回のアラーグチー外相の訪中に加え、年明け1月にはペゼシュキヤーン大統領のロシア訪問も予定されていることから、イランが欧米との関係改善に見切りをつけ、中露との関係強化に舵を切ったとする見方もあります。
これについてマンスーリー氏は「中国はここ数年の米国の敵対姿勢に辟易としている。米国に対抗するために上海協力機構やBRICS加盟国(イランはいずれにも加盟)との協力を進めようとするのは自然なことだ」としました。
ただし、「イランは一部の国にすべての外交エネルギーを注ぐことはない」とし、ラテンアメリカやアフリカ諸国、東南アジア諸国との関係強化も進めていると強調しました。
マンスーリー氏の言うように、イランは特定の国のみとの外交関係を追求するということはありません。しかし、欧米がイランの権利を認めようとせず、対話にも応じない現状では、イランがBRICSや上海協力機構といった何の障害もないグループとの関係を強化するのは自然なことです。