イラン・チャーバハール港への制裁復活がもたらす周辺諸国への経済的影響
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イラン南東部チャーバハール港
イラン南東部、オマーン湾に面するチャーバハール港への制裁を米国が復活させたことで、この地域の貿易だけでなく、アフガニスタンやインドの経済にも影響が及ぶことが懸念されています。
【ParsToday国際】インドとアフガニスタンは、イラン南東部スィースターン・バローチスターン州に位置するチャーバハール港を重要な物流ルートとして発展させる意向を持っており、中国やパキスタンもに同港湾に大規模な投資を行っていますが、米国はこの港に対する制裁を復活させました。この記事では、チャーバハール港に対する制裁が地域および世界経済に与える影響を考察します。
チャーバハール港に対する制裁復活
今月29日から、チャーバハール港に対する制裁が復活することが決まりました。米国務省は、同日以降にチャーバハール港での活動に関与する個人や団体に制裁を科すと発表しています。この制裁復活により、インドやアフガニスタンなど、チャーバハール港に依存している国々は経済的な問題に直面することになります。インド外務省のランディール・ジェイスワール報道官は、チャーバハール港に対する制裁について懸念を表明し、この措置がインドの貿易やプロジェクトに与える影響を精査していると述べました。
チャーバハール港の戦略的重要性
チャーバハール港は、東南アジア、ヨーロッパ、アフリカ、中央アジアを結ぶ海上ルートであり、イラン東部の発展の鍵とされています。この港は「南北回廊」の重要な部分であり、アフガニスタンや中央アジア諸国への貨物輸送を可能にしています。
インドは2016年からイランとの二国間協定の枠組みで、チャーバハール港のシャヒード・ベヘシュティターミナルへの開発投資を開始し、昨年には10年間の管理契約を締結しました。この契約には、3億7000万ドルの投資で桟橋を整備し、鉄道や港湾プロジェクトに20億ドルを投じることが含まれています。
アフガニスタンはパキスタン経由のルートへの依存を減らすため、チャーバハール港を通じた輸出に特別な期待を寄せており、チャーバハール-ザーヘダーン鉄道やザランジ・デラーラーム道路といった鉄道・道路プロジェクトが同国の貿易を支えてきました。
地域への影響と中国の競争
チャーバハール港に対する制裁復活で、インドとアフガニスタンは、ドバイのジュベル・アリ港や中央アジア諸国といった遠距離かつ高コストな代替ルートの利用を強いられることになります。
一方、中国はパキスタンのグワーダル港に620億ドルを投資しており、チャーバハール港と近距離に位置しているため、インドが中央アジアやアラブ諸国にアクセスするための代替ルートとして活用できる可能性があります。この地域の競争は商業ルートだけでなく、エネルギーや原発プロジェクトにも関わっており、インドはロシアと協力して原発やクリーンエネルギー開発プロジェクトを進めており、ロシアの技術を活用して大小の発電所を建設することを計画しています。
チャーバハール港に対する制裁:アジア諸国にとっての脅威
チャーバハール港に対する制裁復活は、インドとアフガニスタンの経済に対する脅威であり、米国の「最大限の圧力」政策が地域の商業およびインフラ政策に影響を与えていることを物語っています。今回の事態は、アジア諸国が戦略的投資や安全な輸送ルートの開発においていかに重要であるかを浮き彫りにしており、中国とインドの競争の影響を強調しています。
アジアにおける商業・エネルギーの安全が国際的な決定に大きく依存している中、ロシアとインドの原子力協力や中国のグワーダル港への投資、イラン・インド・アフガニスタンの輸送プロジェクトは、チャーバハール港の戦略的な重要性を一層高めています。このルートに対する制限や制裁は、地域の貿易だけでなく、アジアの経済的安定性やエネルギー安全保障にも大きな影響を与えることになるでしょう。