ジャウラニ政権発足から1年、シリア暫定政府のレトリックにおける矛盾
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アブ・ムハンマド・アル・ジャウラニ氏率いるシリア暫定政府の樹立から1年が経過した現在、この体制の政治的言説においては相反する矛盾した兆候が増大してきています。このダブルスタンダード的な姿勢により、和解的なアプローチがないことも相まって宗派間の二極化が加速し、シリアの社会危機が益々複雑化しています。
(last modified 2025-12-09T05:24:18+00:00 )
12月 09, 2025 12:03 Asia/Tokyo
  • シリア暫定政権のアブ・ムハンマド・アル・ジャウラニ(シャラア)大統領
    シリア暫定政権のアブ・ムハンマド・アル・ジャウラニ(シャラア)大統領

アブ・ムハンマド・アル・ジャウラニ氏率いるシリア暫定政府の樹立から1年が経過した現在、この体制の政治的言説においては相反する矛盾した兆候が増大してきています。このダブルスタンダード的な姿勢により、和解的なアプローチがないことも相まって宗派間の二極化が加速し、シリアの社会危機が益々複雑化しています。

シリア前政権の崩壊および、武装組織HTSタハリール・アル・シャームの台頭から1年が経ち、シリア暫定政府関係者の立場を踏まえると、この組織の内部的言説と対外的なメッセージの間に大きな隔たりが生じていることが分かります。

【ParsToday西アジア】国際レベルでは「包括的な政府」や「制度化」が議論されている一方で、シリア国内では他者を非難し外部からの脅迫を強調する言説が繰り返されており、これにより宗派間の緊張緩和に向けた国家的な議論が形成されにくくなっています。

「暫定大統領」を自称するジャウラニ氏は、カタール首都ドーハでの会合において「移行期間は今後4年間続く」と強調すると同時に異例の言動を示し、シオニスト政権イスラエルを「テロリスト」だとして、自身の過去と信頼性に対する疑問に応じました。しかしシリア国内では、北東部と南部の危機が依然として、敵対勢力や地元集団によるものと見なされています。

またシリア中部と沿岸部では、和解に向けた発言表明の欠如および、最近の集会におけるクルド人、シーア派の一派・ドルーズ派およびアラウィー派への侮辱を初めとする宗派間の扇動行為の増加により、社会の分断傾向が強まっています。シリアの現暫定政権も、この傾向を抑制する効果的な措置を講じていません。

事実調査委員会の設置にもかかわらず、南部スワイダ県と沿岸部地域での流血事件を公然と正当化した言動は大々的に批判されており、一部のアナリストは、こうしたアプローチがシリア南部におけるイスラエルの行動を助長する要因であると見なしています。

総合的に見て、問題を「他者」に責任転嫁する前政権のメディア・モデルの再現および、宗派間の言説の継続により、シリアの将来はさらに先行き不透明となり、国が暴力の悪循環に再び陥るリスクが高まっています。

 

 


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