最高裁の判決を控えたトランプ大統領;大統領の関税権限は制限されるか?
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アメリカ連邦最高裁判所が与党共和党の選挙での敗北と政治的圧力中、トランプ米大統領が打ち出した関税上の権限・合憲性を審理しています。これは、同大統領が外交政策の柱とみなしているものです。
(last modified 2025-11-08T12:10:58+00:00 )
11月 08, 2025 12:14 Asia/Tokyo
  • 最高裁の判決を控えたトランプ大統領;大統領の関税権限は制限されるか?
    最高裁の判決を控えたトランプ大統領;大統領の関税権限は制限されるか?

アメリカ連邦最高裁判所が与党共和党の選挙での敗北と政治的圧力中、トランプ米大統領が打ち出した関税上の権限・合憲性を審理しています。これは、同大統領が外交政策の柱とみなしているものです。

トランプ大統領にとって関税は単なる通商手段にはとどまりませんでした。トランプ氏は数ヶ月にわたり、高関税を示唆しこれを武器に和平交渉を行い、国内政治に睨みを利かせ、外国の指導者に国境管理の強化を迫ってきました。しかし今、アメリカの最高裁判所はトランプ大統領とその政権から少なくとも一部の権限を剥奪しようとしている模様です。これについてホワイトハウス当局者2人は今月6日、「最高裁の今月5日の審理後、トランプ政権の雰囲気は『暗澹たるもの』と評されている」と語りました。

この審理手続きが行われているのは、アメリカ与党・共和党が選挙敗北の影響に対処しようとしているという、トランプ政権が極めて困難な時期にある中でのことです。トランプ氏はこの敗北を、現在進行中で前代未聞の政府閉鎖と関連付けていますが、一方でトランプ氏の同盟者は経済問題を軽視しているとして同氏を非難しています。

最高裁の公聴会では、トランプ大統領が1977年のIEEPA国際緊急経済権限法を広範に利用していることについて、複数の上級判事らが懐疑的な見解を示しました。トランプ大統領はこの法律を、議会に諮問せずほぼ全てのアメリカの貿易相手への関税賦課を目的に行使してきています。

最高裁がトランプ大統領の権限の一部を支持し、他の権限を却下したとしても、関税を第2期経済計画かつ外交政策戦略の重要な一部にも据えている同大統領にとって、その判決は大きな打撃になると思われます。

トランプ大統領は即時関税賦課という自らの権限を、インド・パキスタン間の和平努力など、平和構築の取り組みに結び付けています。また、自らの好みに反するテレビ広告を理由にカナダを罰するなど、この権限を政治的な武器として利用してきました。

国家経済を突然麻痺させる能力を失えば、トランプ大統領の友好国はもとより、ライバル国や反米国との関わり方は根本的に変化すると見られます。

今月5日の最高裁判所の審理の場は多くの傍聴者などで混雑し、またその出席者にはベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官、ジェイミーソン・グリアUSTR米通商代表部代表という、少なくとも3人のトランプ政権側の高官が含まれていました。政治に特化したアメリカのニュースメディア・ポリティコは「これらの高官らは、外交政策における大統領の憲法上の権限にとって重要な手段であるとして、緊急関税を強く擁護していた」と報じています。

しかし、多くの判事らは、大統領にこれほど広範な権限を与えるという議会の意図に強い懐疑的な見方を示しました。彼らは「そのような権限を取り戻すには、拒否権を超えた多数決が必要になる可能性が高い」と指摘し、そもそも議会が憲法上大統領にそのような権限を与えることが許されるのかという点について、疑問を呈しています。これは、トランプ政権が繰り返しその法的権限の限界に異議を唱えてきたことを考えると、特に重要な論点だと言えます。

一方で今回の審理に当たっている判事の1人、ニール・ゴーサッチ判事は「議会が貿易の規制、さらには宣戦布告の責任をすべて大統領に委譲することを、何が阻むのか?仮に議会が明日、立法に疲れたのですべてを大統領に委ねると決めたとする。それを阻むものは何なのか?」との見解を示しました。

この報道によれば、ゴーサッチ判事は今回の公聴会で政府側の論証に対し、予測以上に攻撃的な姿勢をとったということです。

トランプ政権側の元高官だったある人物は匿名でポリティコに対し「議会は常に関税権限を非常に厳格に守ってきた。仮に、これほど広範な権限が大統領に委ねられ、議会が拒否権を持たない多数決でなければ権限を剥奪できない状況になったとしても、驚くに値しないだろう」と語りました。

最高裁の最終判決が来年初めまで出ないことから、トランプ大統領は当面、緊急時対応規定の広範な活用続行が可能です。最高裁が同規定の適用を支持すれば、トランプ大統領は関税を多目的な手段として引き続き活用する許可を得たと見なすと思われます。しかし、最高裁が大統領の権限を制限した場合、ホワイトハウスは1977年の法律ほどの範囲とスピードを持たない、より限定的な規定の下で関税制度の再構築を試みるだろうと予想されます。

今やトランプ支持派の多くも、こうした代替案の多くは関税が課されるまでに数カ月もの調査を必要とするため、トランプ氏の取り組みを遅延させるだろうと認めています。

 

 


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