解説;ホルモズ海峡に関するイランの原則的な立場と米国の戦略的な頓挫
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ガーリーバーフ・イラン国会議長が「ホルモズ海峡の南側ルートを通る航行は許可しない」と発表しました。
(last modified 2026-09-02T11:14:47+00:00 )
9月 02, 2026 20:11 Asia/Tokyo
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ガーリーバーフ・イラン国会議長が「ホルモズ海峡の南側ルートを通る航行は許可しない」と発表しました。

【ParsTodayイラン】モハンマドバーゲル・ガーリーバーフ国会議長は「ホルモズ海峡の支配権はイラン武装軍にあり、米国が同海峡の南側ルートを通過することは許されない」と語っています。

また、ホルモズ海峡の最新情勢と船舶交通に関して、「ホルモズ海峡の完全な支配権は我が武装軍の手中にある」と強調しました。

さらに、米国が船舶にホルモズ海峡を通過させようとしていることについて、「米国は泥棒や密輸業者のように少数の船舶にこの海峡を通過させようとしているが、我が国の武装軍の抵抗に直面している」と述べました。そして「米国は覚書に反してホルモズ海峡の南側ルートを通ろうとしているが、我々はこれを許さない」と付け加えています。

そして、戦争前の船舶往来量については「戦前は毎日少なくとも120隻の船がホルモズ海峡を通過していたが、たとえ1、2隻が通過するとしても、戦前とは全く比較にならない」としました。また、「アメリカ軍は船舶の海峡通過が可能だと確約しているが、これらの船舶は攻撃を受けている」ともコメントしています。

かつて世界経済の重要な大動脈であり、日々120隻以上の船舶が通過する要衝であったホルモズ海峡は、今やイランと米国による前代未聞の対立の舞台と化しています。戦略的に重要なこの海峡でここ数ヶ月に起きたことは、単なる海戦ではなく、西アジアにおける勢力均衡の根本的な変化を反映しているとともに、双方の外交・軍事力の有効性を試すものでもあります。イラン側首席交渉官でもあるガーリーバーフ国会議長が「ホルモズ海峡の南側ルートの通過は認めない」と発言したことで、この紛争の最もデリケートな側面の1つが明らかになりました。

イランが南側ルートの通過を拒否する主な理由は、イスラマバード覚書の厳格な解釈にあります。パキスタンの仲介により、同国首都イスラマバードにて2026年6月17日に署名されたこの14項目の文書は、軍事衝突の終結および、最終交渉の開始に向けた道筋となるはずでした。この覚書の第5条は、イランに対し「商船の安全な航行に必要な手配を行うために最大限の努力を尽くす」こと、そしてオマーンとの協議による海峡の将来的な管理方法の決定を義務付けています。

しかし、実際に起こったことは、米国がオマーンの管理下でイランとの調整なしに、南側ルートへの独立した回廊の創設を狙った工作でした。イランの視点からすれば、このような覚書の解釈は、イランの約束事から実質的な内容を奪うのみならず、イラン・オマーンの間で予定されていた対話をも無意味なものにすることになります。言い換えれば、イランは、この覚書は2つの並行して競合する政権ではなく、協調的な暫定政権のために策定されたものだと考えています。

2つ目の、そしておそらく最も重要な理由は、ホルモズ海峡を管轄する地政学的および法的現実だと言えます。イランは、1982年の海洋法条約および国内法を根拠に、この水路の一部に対する主権を主張し、あらゆる航行において自国の軍隊との連携が必要であることを強調しています。この点に関して、ガーリーバーフ国会議長は揶揄的に「もし米国が海峡の支配権を握っているなら、なぜ彼らは毎日同じことを繰り返し、我々の島しょ部を攻撃する必要があったのか」と疑問を呈しました。この問いは、イランが米国の軍事行動を力の徴ではなく、法的・外交的手段を通じて目的達成できないことの表れと捉えていることを示しています。

イランの姿勢に対する米国の対応は、軍事的圧力、海上封鎖、経済制裁を組み合わせたものです。トランプ米政権は2026年4月13日以来、ペルシャ湾とホルモズ海峡におけるイランの港湾と海域を完全に海上封鎖しています。同時に、米軍は当初、ペルシャ湾ラーラク島にあるイランの拠点に対して限定的な攻撃を開始し、9月1日火曜以降は、イラン南部、西部、中部で広範囲にわたる攻撃を実施始しました。また米国は外交レベルでは、バーレーン、サウジアラビア、UAEアラブ首長国連邦とともに、イランの攻撃停止と航行の自由の確保を求める決議案を国連安全保障理事会に提出しています。しかし、これらの措置はイランを屈服させるのではなく、逆に対立激化をまねき、ホルモズ海峡を事実上の最前線へと転じさせた格好となりました。

トランプ政権の政策の不首尾を最も如実に示しているのは、掲げられた目標と実際の成果との間の大きな隔たりです。イギリスの有力週刊メディア・エコノミスト誌は率直な分析において「イランに対する軍事攻撃や新たな制裁にもかかわらず、米国大統領にはこの水路を通る海上交通を再開させるための有効な手段がない」との分析を示しています。実際、この評価は、現場の現実に合致したものです。

イランは船舶航行を規制する新たな制度を導入し、航行を希望する全ての船舶に対しイラン当局の許可取得を義務付けました。IRGCイランイスラム革命防衛隊海軍も国際航路の監視を強化しています。これに対し、米国は「戦前の1日120隻に対し、米海軍の支援を受けて海峡を通過する船舶は1日約30隻にまで減少した」と主張していますが、これは壊滅的な減少であり、決して正当化できないものです。

この紛争におけるトランプ政権の戦略の失敗は、より広範な側面を有しています。一方では、海上封鎖と経済制裁を以てしても、イランに米国の条件を呑ませることはできませんでした。他方では、国際社会の支持を得ようとする米国の工作が深刻な障害に直面しており、国連安保理での対イラン決議案はロシアと中国による拒否権行使の危機に瀕しています。こうした相対的な孤立に加え、軍事・外交的な膠着状態は、トランプ政権が多大な犠牲を伴い、明確な解決策が見出せない対立に陥っていることを物語っています。

こうした中、イランがイスラマバード覚書に基づいてホルモズ海峡における船舶の監視と管理の権利を主張していることは、法的にも政治的にも注目すべき力を持っています。同覚書の第4条は、米国に対し「イラン・イスラム共和国に対する海上封鎖およびあらゆる干渉または妨害の解除」の開始を求めており、その間「船舶の航行はイラン・イスラム共和国により、戦前の航行量に比例して再開される」と規定しています。この条項は、海上交通の回復がアメリカの一方的な行動ではなく、イランの参加と調整のもとで行われるべきプロセスであることを明確に示すものです。さらに、第5条は、海峡の将来を決定する唯一の正当なメカニズムとしてオマーンとの対話を導入しています。したがって、「南側ルート上のいかなる代替回廊も明白な合意違反である」とするイランの主張は、容易に無視できない法的根拠に基づくものです。

ここ数ヶ月の経験は、いかなる覚書や決議にも関わらず、ホルモズ海峡の南側ルートが事実上イランの軍事的レッドラインとなっており、これを越えようとする試みは全て、地域と世界にとって緊張の高まりとより大きな代償をもたらすだけであることを物語っています。イスラマバード覚書は、実際には深刻な課題に直面しているものの、米国が武力に訴えることなく、その条項を真摯に履行する姿勢に戻れば、この行き詰まりを打開する道筋となる法的・政治的枠組みを依然として提供しているのです。

 


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