エネルギー供給におけるイランの役割
イランのチートチヤーン・エネルギー大臣が、東京で開催されたエネルギー憲章会議の第27回会合で、経済・生命活動におけるエネルギーの役割について触れ、エネルギー資源の多様化、エネルギーの安全保障、再生可能エネルギーの活用の拡大を求めました。
チートチヤーン大臣は、「再生可能エネルギーは多くの国で重要な役割を担っているが、石油や天然ガスといった化石燃料のエネルギー生産における役割は、少なくとも2030年までは否定できない」と語りました。
2015年、オランダのハーグで国際エネルギー憲章閣僚会議が開かれ、国際エネルギー憲章がヨーロッパの最新のエネルギー憲章として採択されました。この会議で、1991年の欧州エネルギー憲章に署名した国々をはじめとする各国の代表は、国際エネルギー憲章に署名、あるいは賛成を表明しました。
国際エネルギー憲章は、開発途上国におけるエネルギーのより望ましい利用の支援、新たな能力の創出、エネルギー部門における共通の問題への対処を主な目的としています。この憲章の目的を実現するためには、国、地域、世界レベルでのエネルギー部門の協力が必要です。こうした立場から、イランが東京での会議でこの憲章に加われば、加盟国にエネルギー部門での更なる協力の下地を整えることができるでしょう。
現在、国際エネルギー憲章へのイランの参加に関する文書の署名により、イランは正式にこの会議のオブザーバーとなりました。この文書は、チートチヤーン大臣によって東京で署名されました。
世界最大の化石燃料資源を有する国であるイランのエネルギー供給における役割は、非常に重要なものです。現在、中央アジアからヨーロッパの市場に天然ガスを移送するための多くのプロジェクトが考慮されており、それを移送する最も安価で安全な道が、イランの領土を経由することです。中央アジアに加えて、ペルシャ湾にも大きなガス資源があり、それを消費市場に移送するためにも、イランを経由するのがベストです。
ペルシャ湾岸にある南パールス経済特別区の存在も、イランをエネルギーを移送する経済的な中心の一つに変えています。マクラーン海岸も、オマーン海やインド洋、重要なホルモズ海峡につながる要所として、イランの重要性を高めています。この地域への投資は、世界の大きなエネルギー消費国であるインドや中国といった国が注目を寄せています。
イランはまた、地域の7カ国との電力移送ネットワークにおいても、重要な経験や可能性を有しています。
エネルギー憲章の事務局長は、チートチヤーン大臣との会談で、「イランは石油、天然ガス、電力の分野で、憲章に関する様々な会議の開催や、世界のエネルギー取引に関する法規作成の協力において積極的な役割を果たすことができる」と語りました。これにより、東京での会議では、イランの電力・天然ガスの地域市場の拡大に関する検討が行われ、その結果がトルクメニスタンでの次期会合で提示されてる予定です。