ニュース解説;イランとインドの関係の新時代の幕開け
アミーンザーデ解説員 17日土曜朝、インド・ニューデリーにおいて、同国の大統領と首相により、イランのローハーニー大統領を歓迎する正式な式典が実施されました。
今月15日から3日間の予定で行われるローハーニー大統領のインド訪問では、両国の政府関係者らによる重要な協議に加えて、15に上る合意書や合意覚書の調印が行われています。これららの合意は、政府高官レベルにおける包括的なもので、二国間や地域単位の利益やニーズに基づく、イランとインドの長期的な視点を反映しています。一部のアナリストは、インドが進歩発展の道を歩んでおり、このプロセスを継続的なものにすべく、現実に基づいた協力のチャンスの活用を決意している、との見方を示しています。
イランの大学で教鞭をとるアジア問題の専門家、ノウザル・シャフィーイー教授は、次のように述べています。
「インドは、世界で第4の新興経済国であり、外国人投資家にとって魅力のある上位5カ国とされている。インドの独立後、我々がまず目にしたものは理想主義だったが、現在見られるのは現実主義、すなわち現実に基づく実践主義である」
イランとインドの関係はここ数年、一部の地域・地域外的な要素の影響を受けてきたことから、両国の可能性に基づく然るべき速度で行動ができない状態にあります。こうした影響は、エネルギー分野のほか、イランの天然ガスをパキスタンを経由してインドに輸送する平和パイプラインの計画においても垣間見られます。インドは、平和パイプラインの件に関して、パキスタンとアメリカという2つの問題を抱えています。しかし、現実の問題として、インドはエネルギーの確実な確保源を必要とするほか、自国の経済サイクルを円滑に回転させるためにエネルギーを、そして自国の製品を輸出するための南北ルートを必要としているのです。
一方で、インドはペルシャ語にルーツを持つ言語が使用されている国であり。このことは両国関係にとって1つのチャンスといえます。この点から、先に述べたイランとパキスタンを経由しての平和パイプラインに代わるガス輸送ルートの成立には、トルクメニスタン、アフガニスタン、パキスタン、インドの4カ国の参加が必要となります。しかし、その実施は決してたやすいものではありません。さらに、インドとパキスタンの関係には、依然として問題が残っています。こうしたなか、イランは戦略的な成功によりエネルギーの確保に加えて、インドを初めとする全ての地域諸国の利益となる、地域の安定や安全の原動力となりうるのです。
イランは、テロ対策の問題において、大きな役割を果たし、その役割を確固たるものにしています。このため、イランとインドの関係の重要性は、戦略的な奥深さを有する地域の2つの独立国、という枠組みで捉えることができます。両国のトランジット輸送やイラン南東部の港湾チャーバハールの可能性の活用に関するインドの投資、といった内容の重要な合意書の締結は、両国の関係が戦略的なものになってきていることを示しています。
イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記は、「時にはイランとインドの両国が互いに遠い存在にあることもあるが、そうした中で互いの価値を認め合うべきだ。このため、地理的には離れていても、近しい関係を持つ必要がある」と語っています。