イギリスの核合意に関する矛盾したアプローチ
(last modified Sun, 06 May 2018 07:30:46 GMT )
May 06, 2018 16:30 Asia/Tokyo
  • トランプ大統領とメイ首相
    トランプ大統領とメイ首相

アメリカのトランプ大統領がイランとの核合意に関して決定を下す期日が近づく中、アメリカに国際的な取り決めを実施させるための国際的な努力が高まっています。

フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相がワシントンを訪問した後、イギリスのジョンソン外務大臣も、7日月曜、トランプ大統領を核合意に留まらせるため、ワシントンに向かいます。

トランプ大統領は、120日ごとにイランに対する核関連の制裁停止を延長することになっています。イランの核に関する制裁を復活させないことは、核合意の中のアメリカの取り決めとなっています。こうした中、トランプ大統領は1月、5月の期日には、ヨーロッパがアメリカの条件を受け入れなかった場合、対イラン制裁の停止を延長しないと警告しました。この条件とは、イランのミサイル活動の阻止や査察の拡大などであり、それらは皆、核協議の中で、アメリカ政府が合意した事柄とは完全に異なっています。

このような行動に注目し、イギリスは、この数日、トランプ大統領を説得するための努力を拡大しています。とはいえイギリス政府は、この目的を達成するために、矛盾した行動を取っています。一方では、世界の多くの国と同じように、核合意の維持とアメリカの残留を強調していますが、その一方で、トランプ大統領を納得させるため、イランの地域における活動やミサイル計画、核合意に関する補完的な協議を行うことが不可欠だとしています。

イギリスが、フランスやドイツと共に矛盾したメッセージを送っていることは、トランプ大統領の核合意の破棄を促すものです。しかし核合意は、明白な文書として、イランの核計画に関係する国際機関や国々のそれぞれの取り決めを明らかにしています。この文書のプロセスに基づき、IAEA国際原子力機関は、これまで11の報告の中で、イランが取り決めを完全に履行していることを認めています。しかし、アメリカは、イランとの経済協力に関心を持つ民間企業や他国の政府を脅迫し、取り決めに違反しています。

イギリス政府のサミュエル報道官は次のように語っています。

「イギリスは、核合意の破棄は、アメリカをはじめとするこの国際合意の関係国の利益にはならないと考えている」

 

イギリス政府のサミュエル報道官

 

このよう流れの継続は、イランとの核合意を破棄へと導くだけでなく、国際関係にマイナスの影響を及ぼすことになるでしょう。アメリカの対イラン制裁が復活した場合、ヨーロッパの企業は大きな損失を蒙ります。これらの企業は、核合意の実施から3年、イランに莫大な投資を行っており、ヨーロッパの経済活動家にとって、適切な機会が生まれています。そのため、これらの協力を続けさせないためのアメリカの妨害は、ヨーロッパの投資や雇用の多くの機会を失わせることになります。このことから、ここ数週間、ヨーロッパ諸国の首脳は、核合意を維持するための努力を拡大しているのです。

いずれにせよ、国際問題へのアメリカの利己的な考え方や、トランプ大統領の核合意に対する姿勢は、ヨーロッパの同盟国をはじめとするすべての国の利益を危険に陥れているのです。