フランスによる核合意維持の強調
(last modified Wed, 27 Jun 2018 11:31:22 GMT )
6月 27, 2018 20:31 Asia/Tokyo
  • フランスのドラットル国連大使
    フランスのドラットル国連大使

フランスのドラットル国連大使が、イラン核合意は、多極主義、国際社会の現実的な見方、具体的な行動がもたらした成果であるとし、「フランスは今後も、この合意の取り決めの実施を続けていく」と強調しました。

ドラットル大使は、法の尊重や多極主義における国連安保理の役割は根本的なものだとし、イラン核合意を認めた安保理決議2231が、そのことを示しているとしました。

フランスが、核合意の一員としてこの合意の維持を改めて強調したことは、この国際合意の継続と遵守の必要性に関する、フランスやヨーロッパの関心の高さを示しています。アメリカのトランプ大統領は、5月8日、一方的に核合意から離脱しました。このアメリカの決定は、国内外の強い反発を招きましたが、これに対して、フランス、ロシア、イギリス、ドイツ、中国は、「この合意に留まる」と発表しました。

フランス、ドイツ、イギリスの3カ国の首脳は、核合意への残留は、地域や世界の平和と安定を助けることになると考えています。EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は、次のように語っています。

「国際社会の大部分は、核合意への支持を表明している。それは、現実的な見方からくるものであり、中東の新たな兵器競争を阻止するため、よりよい代替案が存在しないからだ」

核合意の他の締結国と同じように、フランスにとっても、この合意はさまざまな点から重要なものです。ヨーロッパにとって、核合意は、冷戦後の政治、外交分野における国際的な成功です。また、EUは、核合意はイランの核活動に制限を設けることで、イランによる軍事目的の核活動を防ぎ、最終的に、北朝鮮の核問題の解決に向けた適切なモデルになりうると考えています。また、核合意は、EU諸国の経済関係再開のきっかけとなっており、彼らは、中東で重要な国であるイランでの経済機会を、簡単に手放すつもりはありません。

 

核合意

 

アメリカのイランに対する核関連の制裁の復活と新たな制裁の行使は、イランを巡るヨーロッパの経済的な利益を脅かすことになります。当然のことながら、フランスをはじめとするヨーロッパの、核合意による利益に注目すると、ヨーロッパは、この合意の維持に向けて最大限に努力することでしょう。しかし、この合意の維持は、現在、危機に晒されています。イランのアラーグチー外務次官は、次のように語りました。

「核合意は今、集中治療室にいる。なぜなら、最も重要なバランスを失ったからだ。そのバランスとは、アメリカの核合意からの離脱である。そして今、ヨーロッパと他の核合意の締結国が、この合意を維持しようとするのであれば、さらなる誠意を示すべきであり、特にアメリカの離脱と制裁の復活を補う必要がある」

現時点で、イランにとって重要なのは、核合意に留まることによる利益を確保すること、ヨーロッパから明確な保障が提示されることです。イランの核合意残留により、アメリカによる制裁のマイナスの影響の緩和など、イランの利益が維持されなければ、イランがこの合意に留まる理由は存在しなくなるのです。