イラン国立図書館を訪ねて(日本語のナレーション付)
ここは、テヘラン市内にある国立図書館です。ここはいわば、恒久的な宝物にあふれた大海でもあり、また叡智という広大な天空に広がる最も輝く綺羅星を集めた銀河でもあります。さらに、この地を愛する鳥たちの住処・ねぐらでもあり、思想という広大な大地に聳え立つ文化の最高峰とも言えるのです。
悪に世界を託すことのないよう、死ぬときに善くあるよう努めよう
悪の価値観は変わっていくもの、
ならば生きた証に自分が善と思うものを残したほうが良い
フェルドウスィー『王書』より
心地よい陽気と見渡す限りの大地
あなたはふと春の気持ちがしたと言った
皆よってたかって善の手を切り落とした
世界よ、世界を悪の手に委ねるな
誰も私たちのことを褒め称えない
というのも、イランの国土は破壊されていたから
イランは破壊されることを嫌がる
イランは破壊されることを嫌がる
ライオンやヒョウの巣になることを
イスラムの聖典コーランには、「筆、そして書いたものに誓って」とあります。
このように、創造主なる神は、筆記・筆録されたものを発言されたものよりも有効、かつ優れたものとみなしており、筆録による経験の移転や文明に大いなる報酬を定めています。それは、発言することは誰にでもできるが、だからといってその人が書き記すこともできる、ということにはならないからです。
イラン国立図書館には12の広間があり、そのうち8つは専門的な図書のスペースとなっています。中世イラン大学者から名を取ったイブン・スィーナーの間は人文科学専門、中世イスラム哲学者・数学者から名を取ったファーラービーの間は文学・芸術専門のスペースとなっています。さらに、アルコールを発見したイランの化学者から名を取ったラーズィーの間は科学技術、10世紀のイラクの書籍商人から名を取ったイブン・ナディームの間は書誌学、神学者・哲学者であるナスィールッディーン・トゥースィーの間は出版、イランの数学者から名を取ったフワーラズミーの間は貴重な手書きの写本、イラン学・イスラム学の間は各国語で書かれたイラン学・イスラム学関連の書籍のスペースとされ、そして児童青少年のコーナーに加えて、一般書コーナーのほか、ペルシア文学創成期の盲目だったとの伝承のある詩人から名を取ったルーダキーの間と呼ばれる視覚障害者専用の書籍スペースもあります。
まとめると、これらの書籍スペースは専門書図書館にある書籍の研究のための一大共有スペースとなっており、あらゆる分野の研究を歓迎する場所でもあるのです。
ガージャール朝時代の大宰相ミールザー・ナーイェボッサルタネ・イーサー・ガーエムマガームの編纂した書物レサーネ・ジハーディーエは、今から160年以上前(の太陰暦1333年)に出版された、史上初の鉛版印刷による書物であり、モハンマド・アリー・ブン・モハンマドホセイン・アーシュティヤーニー博士の尽力校訂により出版されました、
フランスの旅行家・宝石商のジャン・シャルダンは、10冊以上もの旅行記を記していますが、彼は西側諸国で最高のイラン研究者・中近東学者の1人とされています。
この貴重な手書きの写本は、ガージャール朝時代の文筆家ゼイノルアーベディーン・ブン・アブドンナビー・ガズヴィーニーの著作の写本です。この書物は、今から180年近く前(の太陰暦1219年)に執筆されたもので、紙で裏打ちされた表紙に、中は草花文様、さらに四隅は唐草模様で装飾がほどこされています。
また、彩色が施されページの縁を囲むように詩歌が書かれるなど、ガージャール朝時代の装飾写本の要素のすべてが見られ、当時の書籍表装・装丁の貴重な見本となっています。
この本に使われているのは、ペルシャ書道に見られる代表的な書体の1つ・ナスタアリーク体であり、イランの偉大な英雄叙事詩人フェルドウスィーの作品『王書』中から、ヴェサール・シーラーズィーの息子マフムード・ハキームが精選した詩が集録されています。
イランにおける古文書・アーカイブの歴史は古く、イランの史料文献によればそれは紀元前のアケメネス朝時代にまでさかのぼり、当時すでに現代で言うアーカイブとしての機能を果たしていたといわれています。
これらのアーカイブの役割を果たした機関はそれぞれの時代によって、宝物庫や宮廷財産係の書庫など、それぞれ違った名称で呼ばれていました。
消毒セクションでは、汚染を除去するためにエチレンオキシドガス消毒システムがさまざまな方法で使用されています。
専門家は、害虫駆除の壊滅的な影響に対処するため、さまざまな化学試験の実施、汚染された文書のサンプリング、および生物学的汚染物質のデータベースを確立する役割も担っています。ここでの主なサービスには、作品のサンプリングと生物学的汚染の特定、エチレンオキシドを使用した作品のパージ、適切な溶媒を使用したさらなる汚染からの分離などがあります。
歴史的文書の保存の分野の修復専門家は、最初に手書きの技術の分析に取り組んでいます。次に、標準的な修復方法を駆使して、取得した情報に基づき、作品の再現や修復を行います。本や原稿の修復、革の装丁の修復、さらに紙の作品の修復など技術指導の開催も行われています。
図書館に保管されている資料には多くの種類があります。書面による文書には、請願書、行政書簡が含まれます。描画には地図の類が含まれます。 視聴覚資料には、写真やスライド、オーディオとビデオテープ、顕微鏡写真が含まれ、グラフィックにはポスターの類が含まれます。
特に文書保管特別アーカイブでは文書の保管や代替文書の登録、受領などの業務が行われ、国立図書館に収蔵されている各種の収蔵物は、この分野に含まれます。それらには、紙版の文書の保管所、彩色やカラー印刷を含む試料の特別保管所、電磁的文書の特別保管所、金庫などがあります。
この古文書は、常に専門家らの監視・監督下におかれ、史料・文書の保管の規準が遵守される必要があります。
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