ドキュメンタリー・イラン
イラン西部ケルマーンシャー州 アナヒタ神殿(日本語のナレーション付)
今回は、西部ケルマーンシャー州にあるアナヒタ神殿をご紹介しましょう。
イラン西部ケルマーンシャー州キャンガーヴァル行政区の中心にある有名なアナヒタ神殿は、同じ西部のハメダーン州からケルマーンシャーへと向かう街道に位置しています。この神殿は、周辺から最大で32m高い丘の上に建てられています。「アナヒタ」は清浄で無垢であるという意味があり、古代イランにおいて、水、泉、雨をつかさどる女神として、また水が生命を育むと考えられていたことから、子宝、安産、愛、豊穣の象徴として信仰されていました。
一部の研究者らは昔、イラン人やアラブ人の歴史家の著述に基づき、この建物をサーサーン朝の王ホスロー2世の未完成の宮殿だと紹介していました。建物内の柱は、高さと直径の比率が3:1で、これは世界の他の神殿の中に見られない独特の特徴となっています。アナヒタ神殿は、イランにおいて同国南部にある遺跡・ペルセポリスに次いで古い石造りの建造物とされています。この建物の形は四角形で、それぞれの面は乱積みの石と石膏モルタルで板状にした後、表面を大きな石で削り、最後に組んだ石で覆うという作りになっています。建物の南側には、長さ1545メートルもの二方向に延びる階段があります。階段は、2~5段ごとに石英が使われています。
この建物から西に2キロメートルの場所には、チェヘル・マラーン鉱山があり、この神殿の建築に使われた石はここから切り出して運ばれたと言われています。壁の内部や外装に使われた石が、当時の半分切り出された状態のまま現在も残されています。1968年、この場所で古代史研究を目的とした発掘調査が初めて行われました。この調査により、この建物は古代イランのアルサケス朝時代に、アナヒタ神のために作られたことが分かりました。
ここを訪れる観光客にとって、一番近い宿泊施設はキャンガーヴァル行政区にあります。神殿に面したエンゲラーブ通りには、旅行者向けの宿泊施設が何軒か見つかります。
アナヒタ神殿は歴史的価値において、イランに存在する優れた文化遺産のひとつに数えられるのは間違いありません。この神殿が持つ独自の特徴に魅かれて、毎年国内外から多くの観光者や古代史研究者を訪れています。
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