ウィーン協議が中断;イラン交渉団も本国へ
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ウィーン協議
オーストリア・ウィーンでの核合意復活をめざす協議で仲介役を務めるEUのボレル外務・安全保障政策上級代表が協議中断を明らかにし、イラン交渉団を率いるバーゲリーキャニー外務次官も本国へ戻りました。
ボレル上級代表は11日金曜、ツイッターにおいて「外的な要因によって一時中断が必要だ」と投稿しました。
その一方で、対イラン制裁解除を目指す協議の合意文書最終稿は準備され検討中だとも説明しました。
イラン外務省報道官、「協議中断は残された問題解決への下地となりうる」
イラン外務省のハティーブザーデ報道官は、このボレル上級代表のツイートに反応して、「発表された協議中断は、残された問題の解決および核合意の最終的復帰への下地となりうる」としました。
続けて、「協議での合意成立は全関係方面が集中する事柄であり続け、いかなる外的要因も、包括的合意に向けて進むという共通の意志に影響することはない」と説明しました。
EUの主席交渉官であるモラ欧州対外活動庁事務次長も、協議の雰囲気が良好であり、各交渉団はウィーンでほぼ合意に達しているとしています。
ロシア交渉団代表のウリヤノフ氏は、協議中断発表の後に「行き詰まりがあるという情報は一切なく、連絡は取り続けられる」と述べています。
一方、アメリカ大統領府のサキ報道官は、ウィーン協議は合意に近づいているものの、「交渉の最終段階は通常問題がおきやすいものだ」と述べました。
イランのアミールアブドッラーヒヤーン外相は数時間前、ボレル上級代表と行った電話会談において、アメリカ側に協議における新たな要求提示を慎むように求め、「米国からの一部の新たな要求の提示にはいかなる論理的正当性もない。これは、同国が早期合意成立に対して示す立場とは矛盾している」としました。
ウィーン協議は、第8ラウンドがイランと英仏独中露の4+1グループに調整役のEUを加えて行われていました。
同協議は、イラン代表団のイニシアチブにより一連の進展を見せていましたが、特にバイデン米政権をはじめとする西側諸国が、米前政権の行使した違法な制裁の影響の補償を遅らせ、また最大限の圧力行使政策を続行していることから、アメリカの核合意復帰への真意が疑問視され、協議プロセスそのものが長期化しています。
責任を受容する国であるイランは、核合意に違反した側がアメリカであることから、制裁解除により合意に復帰すべきはアメリカであり、さらに同国の責務履行状況は検証確認される必要があると、これまでに何度も表明しています。