ロイター通信、「イラン経済は核合意復活に依存せず」
ロイター通信は、現在のイラン経済は核合意復活にそれほど依存しておらず、制裁解除をめざすウィーン協議が再開した際には、このことがイラン交渉団にとって強力なてこになると報じました。
ロイター通信はこの中で、イランの最終目標はあくまでも核合意の復活と制裁解除であるものの、イラン指導部は制裁解除のために核合意復活を急いではいないと記しています。
また、米ウォールストリート・ジャーナル紙も最近、今年第1四半期のイランの輸出は、その他の西アジア諸国よりも速く成長しており、2018年のトランプ前米政権による核合意離脱以降、最大の石油輸出量を記録したと記しています。
同紙によると、今年のイランの石油輸出は、世界的な原油高とエネルギー不足の中で大きく伸び、今年第1四半期には日量87万バレルに達し、2021年の日量平均66万8000バレルより30%伸びました。
同紙は、イラン政府は制裁解除にむけて各国との交渉につとめており、このことはイランの石油輸出強化のための努力が奏功している表れだとしています。
またニューヨーク・タイムズ紙もこれ以前に、「アメリカの対イラン最大限圧力政策は失敗」という見出しで論説を掲載し、アメリカが2018年に一方的に核合意から離脱し、イランに対して全面的な圧力政策を開始したものの、その目的は果たせなかったとしています。
アメリカは2018年に当時のトランプ政権が一方的かつ違法に核合意から離脱し、核関連の制裁を再発動したばかりでなく、さらに広範な制裁をイランに科しました。しかし、その後のバイデン政権は核合意への復帰を示唆しています。それにもかかわらず、アメリカは現在に至るまで核合意復帰のための具体的な措置を講じていません。
対イラン制裁の解除および核合意の復活を目指してのオーストリア・ウィーン協議は、昨年12月27日に第8ラウンドが開始されましたが、3月11日にはボレルEU外務・安全保障政策上級代表の提案により再び小休止に入り、各参加国の代表者らは本国政府との相談のためそれぞれの国に帰国しました。
それ以来現在まで、協議の当事者であるイランと5カ国グループが協議に進展が見られ意見の対立が減ってきていると表明してはいるものの、一連の保証や制裁対象者・危険人物リストからの個人や法人の削除といった問題は、依然として核合意違反者であるアメリカがその解決に向け必要な政治的決断を下していないままとなっています。