イラン古式体操ズールハーネ;世界的名声を博すイラン人の先祖の追憶
西暦5月18日にあたるイラン暦オルディベヘシュト月28日は、イランでは同国の古式体操ズールハーネおよび勇者の文化の日に制定されています。
ズールハーネとは、ペルシャ語で「力の館」と意味し、この古式体操はイランの文化において悠久の歴史を誇るとともに、肉体・精神力と義侠心のつながりを示しています。
国際通信イランプレスによりますと、この古式体操に使われるリングは地面が大きく浅く窪んだ形に作られており、この伝統スポーツの選手の謙虚さや謙譲性のシンボルであるとともに、イスラムにルーツを有しています。
このスポーツに挑む選手らは、心身の鍛錬とともに、自らの霊魂から荒々しさを払拭するのです。
イラン北西部・東アーザルバーイジャーン州の中心都市タブリーズにある、この伝統スポーツのコーチで、自身も長年にわたり選手として活躍したアスガル・セフィーディー氏は、イランプレスの取材に対し、「この伝統スポーツはイラン独自のものであることから、高い重要性を有している」と語りました。
また、「この伝統スポーツは、イランから国外に発信される唯一のスポーツで、スピードや頭脳・精神的鍛練があることから、各種のスポーツ競技の中でも最も完成度が高いとされている」と語っています。
ズールハーネの魅力の1つは、音楽の生演奏とともに行われるという点にあり、多数のファンも存在します。
ズールハーネの先駆者の1人、モハンマド・ジャディーリー氏はイランプレスに対し、「この伝統スポーツは、わが国の先祖の歴史を追憶させるもので、これまでに数多くの紆余曲折を経てきており、すべての人々がこのスポーツを守る義務がある」と語りました。
また、「この古式スポーツの精神的な側面は、身体的活動とともに精神の向上を伴うという、ほかのスポーツとの相違点を有している」と述べています。
イランでは毎年、イスラム暦シャッワール月17日(今年は5月18日、イラン暦オルディベヘシュト月28日)に、ズールハーネ文化の日に定められており、これを記念する行事が行われます。
なお、イスラム暦シャッワール月は、シーア派初代イマームアリーがハンダクの戦いで非イスラム勢力を相手に勇敢に戦った日とされ、勇敢さと倫理を兼ね備えた勇敢な戦いの完全なシンボルとみなされています。