岸田首相がNPT会議で「核兵器のない世界の実現」訴える、折り鶴を手に
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岸田文雄首相
日本の岸田文雄首相が、米ニューヨークで開催中のNPT核拡散防止条約再検討会議に出席し、「核兵器のない世界の実現」を訴えました。
日本の報道各社が2日火曜、報じたところによりますと、7年ぶりの開催となったNPT再検討会議に出席した岸田首相は日本時間の1日月曜夜、英語で演説し、折鶴を手に「私は一羽の折り鶴を折ってここに持って参りました。世界中の皆様と共に『核兵器のない世界』に向け歩みを進めたい」と表明しています。
また、被爆地・広島出身の首相として、自らが掲げる「核兵器のない世界」に向けた取り組みについて「その原点こそがNPTだ」と強調するとともに、米露英仏中5カ国を「核兵器国」とし、それ以外の国の核保有を禁じるNPT体制について「国際社会全体の利益だ」と維持・強化を訴えました。
さらに、ウクライナでの特殊軍事作戦を実施中のロシアが核兵器による威嚇をしていることに触れ「核兵器の惨禍が繰り返されるのではないかと世界が深刻に懸念している」と強い危機感を示しています。
そして、国連に1000万ドル(約13億円)を拠出し「ユース非核リーダー基金」を設け、各国の若者を日本に招いて被爆の実相に触れてもらう活動を進めると正式表明しました。
続けて、CTBT核実験全面禁止条約の発効を促進するため、9月の国連総会に合わせて首脳級会合を主催する考えも示すとともに、FMCT兵器用核分裂性物質生産禁止条約の交渉の早期開始も呼びかけたほか、核兵器廃絶への機運を高めるため、各国の現職・元職の政治リーダーによる「国際賢人会議」を広島で今年11月23日に初開催する日程も発表しました。
日本の首相がNPT再検討会議に出席するのは、史上初めてのことです。
NPT再検討会議は、米ニューヨークの国連本部で現地時間の1日に開幕し、各国代表による一般討論演説が始まっています。
一方で、77年前に広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子さん(90)はこの国際会議を議場で傍聴し、岸田首相が日本の首相として初めて出席し、演説したことについては「うれしく、誇らしく思う」と述べる一方、核兵器禁止条約への言及がなかったことを批判しました。