国連事務局長、「世界は弾丸を入れた銃で遊んでいる」
国連のグテーレス事務局長は、アメリカによる広島への原爆投下から77年となる日に際し、人類は核の危険を伴う現在の危機的情勢の中で、弾丸の入れた銃で遊んでいる、としました。
国連のグテーレス事務総長が6日土曜、広島市中区の平和記念公園で開かれた平和記念式典に初めて参列しました。
グテーレス事務総長は、この平和記念式典での挨拶で、ロシアによるウクライナでの特殊軍事作戦で核の危機が高まる中、今年6月に開かれた核兵器禁止条約の第1回締約国会議などに言及し、「希望の兆しはある」と強調しました。
一方で、核兵器保有国に対し、敵の核攻撃を受けない限り核を使わないとする「先制不使用」を「約束しなければならない」と呼びかけています。
さらに、「深刻な核の脅威が西アジアから、朝鮮半島へ、そしてウクライナ戦争へと世界各地で急速に広がっている」と懸念を強調し、「人類は実弾が込められた銃で遊んでいる」として核保有国による核戦争は断じて許容できないと述べました。
そして「広島の恐怖を常に心に留め、核の脅威に対する唯一の解決策は核兵器を一切持たないことだと認識しなければならない」と述べています。
また、「77年前、この街で数万人が突然死亡し、老若男女が地獄のような炎で焼き殺された。生存者も癌や他の放射能による負の遺産により呪われた」としました。
またグテーレス事務総長は6日、岸田首相や広島市の松井市長と会談するほか被爆者と面会したり、核軍縮などの課題に取り組む若者と対話したりする予定だということです。
なお、広島平和式典への国連事務総長の参列は、2010年年のバンキムン氏以来2回目となります。
広島への原爆投下から77年を迎える中、今月1日から国連本部のある米ニューヨークで、NPT核兵器不拡散条約の第10回再検討会議が開幕しました。
グテーレス事務総長は、この会議の冒頭でも、世界は冷戦の最盛期以来見られなかった核戦争の危険に直面していると警告し、世界は一歩間違えれば核で破滅する、と警告しています。
これまで、世界で唯一核兵器を使用したのはアメリカです。
国連の報告によると、現在世界には約1万3,000発の核兵器があり、そのうち5,428発は米国が保有しています。