立憲民主党、安倍氏国葬に定まらぬ姿勢
立憲民主党の岡田幹事長は9日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬について、執行部以外の議員の出席は、各自の判断に委ねる方針を示しました。
岡田氏はこの中で、8日に行われた国会閉会中審査を経ても国葬に関する疑問点は尽きないとして、政府に文書で回答を要求するとし、党執行部の国葬出席については、その回答を見極めてから一致した決定を下すとしました。
その一方で、その他の議員の出欠判断については、党として拘束するつもりはないと述べました。
NHKによりますと、岡田氏は、「所属議員の出席を認めることは、国葬に反対してきた党の方針と矛盾しないのか」という記者からの質問に対し、「矛盾はしない。党としての立場は執行部の考え方として集約する」と述べました。
岸田首相が7月14日に安倍氏国葬の開催意向を初めて表明した際、立憲民主党の泉代表は「国葬については、その性質から厳粛に行うものであり、静かに見守りたい」などとする談話を発表し、反対しませんでした。
しかし、その後、国葬の法的根拠がないことなどを理由に他の野党が批判を展開、各種世論調査でも反対が多数を占めるようになると、立憲民主党も反対論を前面に出すようになります。今月8日の閉会中審査で泉氏は、岸田首相に対し「国葬決定は誤り」と迫りました。
しかし、泉氏は、1日の民放のテレビ番組では、国葬出席の可能性について問われると、「国会論戦を通じて最終的に判断していきたい」とした上で「あると思う」と答えていました。翌2日の記者会見でも、「国が関与する儀式は重たい。本来であれば基本的に出席する前提に立っている。それが本当に悩ましい」などと語り、出欠の間で迷っている心情を隠しませんでした。
泉氏の発言を追うと、国葬への反対は、閣議決定だけで決められたというプロセスへの問題視が理由で、それが解消されれば国葬自体に問題はないとの認識が透けて見えます。
国会論戦では反対を表明しながら、党代表が最終的な出席の可能性には含みを残し、所属議員の判断にも関与しない。現在の立憲民主党が示す姿勢は、国葬表明時からの泉代表の一貫しない態度がそのまま表れているといえます。