3月 13, 2023 16:43 Asia/Tokyo

現代日本を代表する小説家で、日本人として2人目のノーベル文学賞を受賞した、大江健三郎さんが、今月3日、老衰のため亡くなりました。88歳でした。

日本の報道各社によりますと、大江さんは1935年、愛媛県大瀬村(現・内子町)に生まれ、幼少期を過ごした森の谷間の村のイメージと、終戦とともに学校教育が、軍国主義から民主主義的なものに切り替わった体験が文学上の原点となりました。

愛媛県・松山東高を卒業後、東京大に入学し、仏文科在学中の57年、「奇妙な仕事」で文壇デビューし、翌年には「飼育」で芥川賞を受賞しました。

また、「芽むしり仔こ撃ち」「われらの時代」「性的人間」「セヴンティーン」など話題作を次々と発表し、戦後の新しい世代の文学の担い手として脚光を浴びました。

さらに、67年の「万延元年のフットボール」で、谷崎潤一郎賞を獲得したほか、94年には「現代の人間の様相を衝撃的に描いた」として、日本人では川端康成に続き2人目のノーベル文学賞を受賞しました。

このほか、核兵器や平和の問題に対しても、文学者の立場から向き合い、広島で取材した被爆者や医師の姿を描いた「ヒロシマ・ノート」は、ベストセラーになりました。

また、憲法改正に反対する「九条の会」や、脱原発を訴えるデモの呼びかけ人として名を連ねるなど、社会問題に対しても積極的に取り組み、発言を続けてきました。

大江健三郎さんと親交のあった詩人の谷川俊太郎さんは、「私は大江さんのデビュー作から読んでいました。私とは作風が違いますが、すごく勉強家で知識がたくさんある人でした。私と同じ世代の人で、大きな仕事をした人なので寂しいです」とコメントしました。

 


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