原油価格の高騰が、日本の各産業界に影響
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ガソリン価格
原油・ガソリン価格の国際的な値上がりが、日本の各産業界や物価に影響を及ぼしています。
NHKが11日木曜、報じたところによりますと、日本ではレギュラーガソリンの小売価格が10週連続で値上がりし、全国平均で1リットル当たり169円となり、原油価格の高止まりを背景におよそ7年3か月ぶりの高値水準が続いています。
また、灯油の店頭価格も0.6円値上がりして1リットル当たり108.3円と、2008年10月以来、およそ13年ぶりの高値水準となっています。
これは、世界的な経済活動の再開に伴って需要が高まっている一方、主な産油国が来月の追加増産を見送ったことから、国際的な原油価格が高止まりしていることが主な要因とされています。
新型コロナウイルスの影響で続く需要の落ち込みに加えて、最近の原油価格の高騰がクローズアップされており、この問題は企業物価指数や日本の農牧業にも大きな影響を及ぼしています。
日銀によりますと、企業の間で取り引きされるモノの価格を示す、企業物価指数の先月の速報値は、2015年の平均を100とした水準で107.8と、35年8か月ぶりの高さとなり、上昇率も40年9か月ぶりの高さを記録しています。
企業物価の上昇によって、コロナ禍で打撃を受ける国内企業の収益がさらに圧迫されるという懸念も出ていて、日銀は「影響を注意深く見ていく」としています。また、企業物価の上昇分が家庭で消費するモノやサービスの値動きを示す消費者物価指数にどの程度反映されるかも今後の焦点になります。
日銀の発表では、先月は、企業物価指数を構成する744品目のうち、半分以上に当たる437品目が上昇し、項目別では、原油高を受けてガソリンや軽油などの「石油・石炭製品」が去年の同じ月より44.5%上がりました。また、住宅建築用などの「木材・木製品」が57.0%、銅やアルミニウムなどの「非鉄金属」が31.4%、「鉄鋼」が21.8%、合成ゴムなどの「化学製品」が14.1%、いずれも去年の同じ月と比べて上昇しました。これは新型コロナの影響から各国の経済が正常化するのに伴い、幅広い原材料が値上がりしていることによります。
原油価格の高止まりの深刻な影響は、農業にも及んでいます。その例として、ビニールハウスの暖房の燃料に重油を使用して温室メロンを栽培する静岡県では、地元の農協によりますと、原油価格の高止まりの影響で、先月の1リットル当たりの重油の価格はおよそ95円と、去年の同じ月と比べて30円余り高くなったということです
このことから、同県袋井市のメロン栽培業者、中條文義さん(64)は、このままではひと月の栽培用燃料の負担が数十万円も増える見通しだと見ており、「重油の値上がり分を負担しきれないとして、農家を辞めたいという人が何人も出てきている。今は原油価格が下がってくれることを願うばかりです」と話しています。
またJA宮崎中央によりますと、海外から船で運ぶ輸入飼料や餌を運ぶトラクターなどの燃料代が増えて飼育コストがかさむため、畜産農家の間で買い控えの動きが出ているということです。子牛の買い付けに来ていた牛の肥育農家は「原油高で飼育するコストがかさむので、赤字を避けるためには強気の価格で競り落とすことはできない」と話していました。
こうした現状を踏まえ、松野官房長官は、記者会見で「物価上昇の背景としては、エネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱といった要因が指摘されている」と述べました。
そのうえで「政府としては、各国の物価も含めた経済動向が、金融市場や、わが国の経済に及ぼす影響を引き続き注視していくとともに、来週中に取りまとめる経済対策で、経済的に困っている世帯や原油高に苦しむ関係業界に対する支援など、必要な対策を講じていきたい」と語っています。
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