大阪高裁、フジ住宅に賠償命令 社内でヘイト文書配布
社内でヘイトスピーチの文書を配布したとして、不動産会社「フジ住宅」をパート社員が訴えた裁判で、大阪高裁は18日木曜、会社側に132万円の損害賠償の支払いを命じました。
NHKによりますと、この裁判は6年前、フジ住宅にパート従業員として勤める在日韓国人の女性が、社内で中国人や韓国人に対するヘイトスピーチを記した文書が会長名で繰り返し配布され、精神的な苦痛を受けたとして、同社と会長を相手取って3300万円の賠償を求めたものです。
1審は昨年7月、会社側に110万円の賠償を命じたものの、原告の女性個人に対する差別的言動は認めなかったため、原告・被告ともに控訴していました。
18日の2審の判決で、大阪高裁の清水響裁判長は、「在日韓国人や韓国に親和的な見解を示す人などの人格を攻撃するような侮辱的なことばが書かれた資料を大量に配布し、職場で差別的な思想を醸成する行為だ」と述べ、1審に続いて違法と判断しました。
さらに「1審の判決のあとも、原告が裁判を起こしたことを強く批判するような資料を職場で継続的に配布しており、強い疎外感を与えて孤立化させ、訴訟による救済を抑圧している」と指摘し、賠償額を132万円に増やすとともに、差別的な言葉が書かれた資料の配布を禁止しました。
判決後に会見した原告の女性は「1審の判決後も会社は変わらず、差別的な資料を配布し続けていました。判決を受け止めて変わってほしい」と話しました。
一方、フジ住宅側は今回の判決について、「侮辱的表現や訴訟批判の表現が含まれる文書の差し止めは、過度の言論の萎縮を招くもので、わが国の言論に対して重大な影響を及ぼすと言わざるをえない。判決は到底承服できず、上告して最高裁判所で改めて主張を行う」とコメントしています。
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