アムステルダムの真実:あらわになったイスラエル社会の人種差別・優越思想
(last modified Mon, 11 Nov 2024 09:24:05 GMT )
11月 11, 2024 18:24 Asia/Tokyo
  • アムステルダムの騒乱でイスラエル旗を掲げるイスラエル暴徒(右)と破壊されたガザの街で立ち尽くす少女(左)
    アムステルダムの騒乱でイスラエル旗を掲げるイスラエル暴徒(右)と破壊されたガザの街で立ち尽くす少女(左)

7日にオランダ・アムステルダムで起きたサッカーのイスラエル人サポーターと地元住民の衝突は、シオニストが自分たちの普段の振る舞いが海外では受け入れらないと思い知らされた出来事でした。

【ParsToday国際】アラブ系イスラエル市民でテルアビブ大学から政治学修士を取得したアービド・アブーシュハーダ氏は、「イスラエルサポーターはジェノサイド文化をアムステルダムに持ち込んだ」と題した記事を「パレスチナ・インフォメーション・センター」に寄稿しました。この記事では、その抜粋を紹介します。

今回の事件は、ジェノサイドを祝う社会の凶暴さの新たな事例である。大規模な破壊と虐殺が衆人環視のもとで行われている今、イスラエル社会の中に「ジェノサイド文化」と呼ぶべきものが広がっていることに留意する必要がある。

7日の事件でイスラエル人サポーターらは、アラブ人差別のスローガンを叫び、街頭にあったパレスチナ国旗を引きずり下ろしたほか、試合前にはスペイン洪水被害者への黙とうを妨害した。

彼らは、こうした行為が海外では受け入れられず、地元住民の怒りを買うものであることが想像できなかったようだ。

このような行為は、昨年10月7日以降、イスラエル社会の中で浸透し、自分たちが法や倫理よりも優先する存在だと考えるようになっている。

また、人種差別的・暴力的なスローガンを叫び続けていたのも、イスラエルがガザでの戦争を正当化している文脈で捉えれば理解できる。

 

暴力の増大

10.7以降、イスラエルでは「アラブ人を殺せ」「村を焼き払え」といったヘイトスピーチが平然と語られるようになった。今回のフーリガンたちが叫んでいたのも、そうしたヘイト文化を反映したものだ。この1年、イスラエル社会ではこのようなヘイト文化がもてはやされ、批判はほぼ聞かれない。ガザやレバノンにおける民間人虐殺についても支持する声が大半だ。

だからこそ、今回の事件でイスラエル人サポーターらは、自分たちの普段の振る舞いが海外では受け入れられないと思い知らされ、ショックを受けたのだった。

アルジャジーラは先月、イスラエル兵が戦場から投稿したSNSの内容を取り上げた。世界はその内容に震撼したが、イスラエル人はそれを支持するばかりだった。

同様の光景は昨年も見られた。メディアではジェノサイドを支持する歌、コメディなどがあふれ、宗教指導者やサッカー選手、大学関係者などがこぞってそれを支持した。

専門家も公然とパレスチナ人の虐殺を求め、イスラエル軍の徴兵強化やガザへの人道支援の停止などを訴えた。

大学・言論界もそのような言説を批判するどころか、ガザの民間人を飢えさせることがどうすれば正当化できるかという議論に終始した。

 

説明責任の拒否

さらに醜悪なのは、こうした言説が日常生活の場でも飛び交っていることだ。電車や公園などイスラエルの街中を歩き、行き交う人の話に耳を傾けてみれば、聞こえてくるのはガザ戦争でより多くの殺戮を求める声ばかりだ。

イスラエル社会はパレスチナ人の死をトロフィーのように考えている。そしてそれを祝うためにお菓子をふるまう者すらいる。これが市民の大半が武器を所有している社会で起きていることだ。

ここでは誰もが西側諸国の支援により免責特権を持っているように思っている。

こうした文化をもたらしたのは、イスラエルの政治・文化エリートである。

イスラエルは新たに開発した弾圧・拷問器具などをパレスチナ人に対して使用し、その品質を世界に喧伝している。

大学もそうしたパレスチナ人弾圧のために研究基盤を用意している。

こうした動きに拍車をかけているのが、アラブ諸国によるイスラエルとの関係正常化だ。これらすべてがイスラエルのジェノサイド文化の拡大を助けてきた。

 

トランプ氏の復帰

イスラエルのこの文化は、トランプ氏の米大統領復帰によってより激化するおそれがある。トランプ氏が米国のイスラエル支援を加速させ、さらなる戦争・ジェノサイドを煽る可能性があるからだ。

イスラエルの右派はトランプ氏の当確後、すぐさまこれを祝った。それは軍事支援や外交支援を期待してのことではない。トランプ氏のような人物が大統領になれば、イスラエルがガザ市民をさらに飢えさせ、どれだけ非民主的な法律を可決しようとも見て見ぬふりをしてくれるからだ。

 


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