シリア暫定大統領、目指すは国民統合か? マイノリティ殺害か?
(last modified Wed, 02 Jul 2025 11:59:49 GMT )
7月 02, 2025 20:59 Asia/Tokyo
  • シリアのジャウラニ暫定大統領
    シリアのジャウラニ暫定大統領

ロイター通信は、シリアのジャウラニ大統領率いる「タハリール・アルシャーム(HTS)」によるアラウィー派弾圧・殺害の実態について報じました。

【ParsToday西アジア】ロイター通信は調査報告の中で、今年3月にシリア暫定政権の支持者によっておよそ1500人のアラウィー派市民が殺害されたとしました。犠牲者の多くは名前や宗教的背景を理由に標的とされ、その中には女性、子ども、高齢者も含まれていたということです。

当初、犠牲者の数は約1000人と報告されていましたが、シリア人権監視団は同月、民間人の死者数を745人とし、さらにアサド前政権下の治安部隊員125人とアサド政権に忠誠を誓う戦闘員148人が含まれていると発表しました。数字に違いはあるものの、両報告とも、この殺害行為が宗派や地域の対立を背景に行われたと指摘しています。

今回、ロイター通信の調査により、ジャウラニ政権配下の複数の武装部隊がアラウィー派殺害に直接関与していたことが明らかになりました。現在のシリア政権は、かつてアルカイダ系組織であったタハリール・アルシャーム(HTS)の元構成員によって主導されています。HTSは現在は解体されたとされていますが、依然として国連の制裁対象に含まれています。

今回問題になっている虐殺行為は、主にアラウィー派が住む少なくとも40の村や地域で発生しました。加害者はHTSの元構成員、新政府に新たに加わったスンニ派部隊、さらにはシリア内務省の部隊など、異なる背景を持つ勢力の連合体でした。その中には、オスマン旅団や第400部隊といった、以前から深刻な人権侵害で非難されていた部隊も含まれていました。

多くの地域で、襲撃者たちは名簿を手にして現れ、アサド政権に忠誠を誓っていた元兵士を狙い撃ちしました。中には、最近恩赦を受けたばかりの人々も含まれていたそうです。

ロイター通信が入手した情報によると、特定の苗字を持っているというだけの理由で一家全員が処刑されたケースもありました。殺害の手口は極めて残虐で、銃殺、切断、公開での侮辱、映像撮影などが行われ、女性、子ども、高齢者、障害者も多数犠牲となりました。

また、ある地域ではアラウィー派の村から完全に住民が追放され、代わりにスンニ派の住民が移住してきたということです。ある証言によると、武装勢力は襲撃時、住民に対してアラウィー派かスンニ派かを聞いて回っていたということです。

虐殺が行われていた当時、ジャウラニ氏はアラウィー派の反政府勢力に対して、「手遅れになる前に武器を置き、投降するよう」呼びかけていました。そして戦闘が終結した後には「国民統一」を訴えました。しかし、ロイター通信の報道によれば、アラウィー派に対する虐殺は現在も続いているとのことです。

 


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