林外相、イラン外相と電話会談 核協議などについて意見交換
林外相は2日木曜夕方、イランのアミールアブドッラーヒヤーン外相と電話会談を行いました。
NHKによりますと、この会談で林外相は、アメリカによる一方的な核合意離脱や欧州諸国による合意不履行には触れず、イランに対し早期に核合意の完全履行再開を求めました。
林外相はまた、イランがIAEA・国際原子力機関と完全に協力することも求めました。
イランは、IAEAによる核施設の監視・査察の継続維持を目的とした技術協定に2回にわたり合意しており、IAEAのグロッシ事務局長もイランの核活動に違反や逸脱がないことを認めています。
今回の電話会談では、アフガニスタン情勢などについても意見が交わされ、この地域の平和と安定の実現に向けた日本とイランの協力を確認しました。
核合意とは?
核合意は、正式名称をJCPOA「包括的共同行動計画」と称し、2015年7月にイランとその相手側の6カ国グループ(国連安保理常任理事国にドイツを加えた国々)の間で成立し、2016年1月から実施されている多国間国際合意です。
この合意の主な内容は、イランが濃縮ウランや遠心分離機を大幅に削減し、これをIAEA国際原子力機関が確認した後、その見返りとして対イラン経済制裁を段階的に解除する、とされていますす。
しかし、ドナルド・トランプ米前大統領は2018年5月、この国際合意に一方的に違反し、この合意内におけるアメリカの参加を打ち切って、イラン国民に対する最大限の圧力行使を目的に、経済テロを実施しました。
イランは、アメリカのこうした一方的な核合意離脱に伴い、この合意に残留したそのほかの相手国の責務実施を条件に、核合意の維持存続に努めてきました。しかし、ヨーロッパ諸国は、この合意の維持に向けて約束していた現実的な措置の実施において、全く成果を挙げることはできませんでした。
このような状況の中で、イランは2019年5月8日、米国の核合意離脱から満1年の節目にあたり、核合意の第26条と36条に基づき、イランの義務と権利のバランスをとるためにこの合意内の責務履行の段階的な縮小に踏み切ると発表しました。
核合意の第26条と36条によれば、この合意の相手国がその責務を遵守・実施しない場合にはイランは自らの権利と義務のバランスをとるべく、自らの責務履行を段階的に縮小する権利を有しています。
バイデン米現政権の関係者らはこの数ヶ月間、イランに対する最大限の圧力行使政策の失敗を繰り返し認めており、アメリカを核合意に復帰させる意思があると表明していますが、これまでそれに必要な措置の実施を渋っています。
イランは、責任を受容する国としてこれまでに何度も、核合意に違反した側がアメリカであることから、制裁解除により核合意に復帰すべきはアメリカであり、さらにアメリカによる責務履行状況が検証確認されるべきことを強調しています。
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