辺野古埋め立て承認撤回取り消し訴訟、沖縄県が2審も敗訴 玉城知事「地方の自主性切り捨て」
米軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画を巡り、国土交通相が沖縄県の埋め立て承認撤回処分を取り消した裁決は違法だとして、県が国に裁決の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁那覇支部は15日水曜、裁判所の審判対象には当たらないとして県の訴えを却下した一審判決を支持し、県側の控訴を棄却しました。
この裁判の経緯は、辺野古埋め立て予定区域の大浦湾側で軟弱地盤が見つかったことなどを受け、2018年8月、県は埋め立て承認を撤回。沖縄防衛局は私人の権利利益を救済する行政不服審査制度を使って国交相に審査請求などを行い、国交相は19年4月に県の承認撤回を取り消す裁決をしました。これを受けて県は19年8月、国交相裁決の取り消しを求める訴訟を起こしました。
沖縄タイムスによりますと、昨年11月の一審判決は、県側の訴えは承認撤回の回復を求めるもので、裁判の対象となる自己の主観的な権利利益の保護救済を求める訴訟ではないなどと判示。県に原告適格(訴訟を起こす適格性)は無いとし、県の承認撤回や国交相裁決が適法か否かの審理には入らないまま訴えを退けました。
控訴審で県側は「法律上の争訟の意義などの解釈を誤り、司法の果たすべき役割を放棄した」などと一審判決を批判し、裁判所の審理対象になると主張。一方の国側は「県の訴えは訴訟の対象にはならないもので、一審判決の結論は正当だ」とし、控訴棄却を求めていました。
今日の高裁判決でも、国交相による採決の適否判断には踏み込まず、一審判決がそのまま踏襲された形です。
この判決を受けて沖縄県の玉城デニー知事は記者団に対し、「地方の自主性を切り捨てるようなものだ」と強い不満を表明しました。
その上で、沖縄防衛局が行政不服審査制度を使って国交相に審査請求し、撤回が取り消されたことについて、「自らの意向を地方に押し通すために行政不服審査制度を用いてしまえば、地方自治は保障されなくなる」と指摘。「果たして本当に適切、公正な判断であったのか疑問だけが残る」と述べました。
玉城知事は判決について「納得できるものではない」として、内容を精査した上で最高裁判所に上告するか検討すると明らかにしました。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://twitter.com/parstodayj