日本が、北方領土付近でのロシアの軍事演習に抗議
日本が、北方領土付近でのロシアの軍事演習に抗議しました。
日本とロシアは、北方領土(ロシア側呼称;南クリル諸島)の領有権をめぐり対立しています。
これらの島々は国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島で人が居住できる島でもある一方、豊かな天然ガスや石油などが埋蔵されているほか、両国にとって戦略的な位置づけにあります。
日本の報道各社によりますと、松野博一官房長官は7日月曜午後の会見で、ロシアによる北方領土周辺海域でのミサイル発射などの軍事訓練の実施は、日本の立場と相いれず受け入れられないとの見解を示しました。
また「北方領土の日」にあたるこの日、返還を求める全国大会が開かれ、岸田首相は領土問題の解決に向け粘り強く交渉を進めていく考えを強調しました。
この中で岸田首相はさらに、「戦後76年が経過した今もなお北方領土問題が解決されず、日本とロシアの間に平和条約が締結されていないことは誠に遺憾だ」と述べています。
北方領土交渉をめぐり、安倍晋三首相(当時)は18年11月、シンガポールでの日ロ首脳会談で日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することを確認し、歯舞、色丹の2島返還にかじを切ったとされましたが、その後の安倍、菅両政権で交渉は停滞しています。
松野官房長官は、「平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題だというのがわが国の一貫した立場だ」と説明しました。
松野官房長官によりますと、ロシアは今月7日から25日の期間に北方領土の周辺海域や宗谷岬沖などでミサイルの射撃訓練を行うと今月3日に公表したほか、訓練実施海域には日本の排他的経済水域(EEZ)の一部も含まれるとしています。
その上で、ロシアの今回の対応は「わが国の立場と相いれず、受け入れられない」とし、外交ルートを通じて伝えたことを明らかにした。また、ロシア軍の活動に関しては「関心を持って注視する」と語りました。
日本とロシアの間ではこれまで長年にわたり、北方領土問題の解決と平和条約の締結に向けた話し合いがなされてきましたが、北方領土問題が原因となり、両国の政治的関係には緊張が生じており、またこの問題は今なお未解決のままとなっています。