外務省、駐日ロシア大使を呼び抗議 平和条約交渉中断をめぐり
外務省の森健良事務次官は22日、ロシアのガルージン駐日大使を呼び出し、同国が日本との平和条約交渉やビザなし交流の中断を表明したことに抗議しました。
日本政府がロシア対応で欧米諸国に同調していることは、日本国民にも悩みの種をもたらしています。
外務省は、アメリカによる反ロシアキャンペーンに追随し、今月18日、ロシア高官15人と9つの機関を制裁対象としました。
制裁対象リストには、ロシア外務省のザハロワ報道官や外務次官4人の名が入っています。
ロシア政府もこの日本の措置に対抗し、日本との平和条約交渉の中断を発表しました。ロシア大統領府は、日本がロシアの利益に損害を与えるよう画策しているため、条約交渉を中断するとしました。
岸田首相は22日の参院予算委員会で、「今回の事態は、全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものだ」と指摘したうえで、「それを日ロ関係に転嫁しようとするロシアの対応は極めて不当であり、断じて受け入れることができない。日本国として強く抗議をする」と述べました。
同日、外務省の森次官はガルージン駐日ロシア大使を呼び出し、「侵略に対し制裁を科すのは当然だ」「日本側に責任を転嫁するような主張は極めて不当だ」と述べ、抗議しました。
これに対しガルージン大使は、記者団に「非友好的な行動をされている以上、(条約交渉を)続けることはできないと明確に伝えた」と語りました。
ロシア政府はかねてから、アメリカの対ロシア制裁に追随する国々に警告を与えてきました。
日本とロシアの間の北方領土(ロシア名:クリル諸島)問題はいまだ正式な決着に到っていません。安倍元首相は在任中の日露平和条約締結と北方領土問題の解決に強い意欲を示し、特に2018年11月にシンガポールで行ったプーチン大統領との会談では、歯舞群島および色丹島の二島返還が記された1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させると合意しました。しかし、その後は具体的な進展はありませんでした。
アメリカをはじめとする西側諸国は、反ロシアキャンペーンの延長としてNATOの東方拡大を推進し、ロシアがウクライナ国境周辺への進軍を決断することになりました。
イランや中国の見方では、西側諸国はウクライナ戦争の端緒となったにもかかわらず、ゼレンスキー大統領からの支援要請を無視しつづけ、大がかりなメディア作戦を展開し、ウクライナの惨状を自らの利益とロシアへの打撃に利用しようとしています。