福島原発めぐる国の責任を認めない最高裁判決に、原告らが落胆
東京電力福島第一原発事故での国の責任を求めた訴訟で、国の責任を認めないとする最高裁の判決に、原告らが大きな落胆を示しています。
最高裁判所前に駆けつけ原告団の仲間たちとともに17日午後午後2時半からの判決の言い渡しを待ちました。
判決内容を知った原告らはは、「がっかりして、体中の力が抜けました。あれだけの原発事故を起こしておいて、とんでもない判決だと思います。帰還困難区域となり自宅に2度と戻れないような状態になってしまったことを裁判官に直接話したのに、届かなかったのでしょうか。泣いても暴れてもどうしようもないのでしょうが、あまりにもショックで気持ちの整理がつきません」と語っています。
その上で、「地獄のような気分です。今までやってきたことは何だったのでしょうか。国の責任を認める判決を期待していた昨夜より、希望を失った今夜の方が眠れないかもしれません」とコメントしました。
さらに、福島の集団訴訟では、提訴から9年あまりの間に、100人以上の原告が亡くなっています。
自らも原告で、賠償額が確定した今年3月の最高裁の決定の直後にともに裁判を闘ってきた父を病気で亡くした福島市の46歳の男性は、「9年もの時間をかけたのに、肩すかしをくらったような判決で許せません。被害に向き合って書いた判決とは思えず、父がこの判決を知ったら落胆すると思います」と述べました。
今回の裁判で、原告側は、福島沖を含む太平洋側の広範囲で津波地震が発生する可能性があるとした長期評価などに基づいて防潮堤の設置や建屋の浸水を防ぐ「水密化」を行っていれば、事故を免れたと主張していました。
これに対し国側は、長期評価は当時、専門家の間で精度と確度を備えた見解として認められていなかったと反論し、津波は予見できず、仮に対策を取っていても、事故は回避できなかったと反論しています。
そして、国が東電に対策を義務付けなかったことと、原発事故の発生に因果関係はないと結論づけた形となっています。