3月 25, 2024 20:20 Asia/Tokyo
  • イスラエルが進めるプロパガンダ戦略 世界規模での欺瞞・口封じ狙う
    イスラエルが進めるプロパガンダ戦略 世界規模での欺瞞・口封じ狙う

シオニスト政権イスラエルがパレスチナ国民に対する犯罪と侵略に手を染めている一方で、主に西側の主流メディアが流す報道は依然として、暗黙のうちにイスラエル支持の潮流を生み出しています。

これまでのメディア報道の目的は、イスラエル占領下の聖地ベイトルモガッダス・エルサレムでの紛争を、中立を装った「双方」間の「紛争」であること、従って数千人の民間人死者を出したイスラエルの残忍なガザ攻撃を、「自衛行為」かつパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスによる攻撃への報復、そしてハマスが「人間の盾」を使用しているとして吹聴することにあります。

イスラエル政権は、認識が現実を形成することを熟知しています。シオニストが牛耳るこの政権は処罰されずに戦争犯罪をはたらいていますが、それは世界的な非難やパレスチナ人への世界的な連帯に対抗できる強力なプロパガンダ機関が存在するからです。

ヘブライ語で説明を意味する「ハスバラ」と呼ばれるイスラエルのプロパガンダ戦略は、パブリック・ディプロマシー(広報文化外交)におけるプロパガンダの枠組みの1つで、イスラエル政権の情報戦とその戦略目標を結び付ける架け橋としての役割を果たしています。

イスラエルのプロパガンダ・システムによれば、特に1948年の発足以来この政権が直面している課題に着目し、国際舞台でイスラエルの肯定的な印象を促進するために広報文化外交を外交政策の優先事項として戦略的に考慮すべきだとされています。

現代では、ハスバラのプロパガンダは大抵の場合、ビデオ、インフォグラフィック、そしてイスラエル政権により発表・宣伝されるSNSの投稿やハッシュタグの形をとることが多くなっています。

ハスバラのプロパガンダの目的は、メディアを通じて外交官、政治家、国民の認識や態度を変容させることにあり、またそれは同政権系列の機関や組織、研究センター、大学、NGOなどを通じて行われています。

 

女性兵士はイスラエルの広報宣伝の一部

 

2012年、イスラエルは当時のツイッター(現「X」)で「防衛の柱作戦」、つまりガザ地区での8日間の戦争を発表しました。この作戦中、イスラエル政権は欧米のメディア空間を最大限に活用し、ブラウザー、検索エンジンのアルゴリズム、閲覧者に提示される内容を制御するその他の自動メカニズムを通じてハスバラのプロパガンダ政策を踏襲していました。

その過程においてイスラエルは、「パレスチナによるテロの無実の犠牲者」を自称し、自らの存在への攻撃に対する主権的自衛の権利に合致するストーリーを描きました。

 

イスラエルの広報宣伝に追従する西側のSNS

 

しかし、これが引き金となって緊張の高まりを招き、ひいてはガザ地区への激しい爆撃を引き起こすこととなりました。

2014年の「プロテクション・エッジ作戦」と呼ばれるガザ住民に対するイスラエルの戦争でも、ハスバラおよびイスラエルのメディアのプロパガンダ計画は発動されましたが、ガザでの彼らの犯罪に対する世界規模での怒りが高まったため、機能せずに終わりました。

イスラエル政権による無辜の民間人の殺害や破壊の動画がSNS上で公開されたことにより、ハスバラの上層幹部は、より組織化された広報活動そして、現在および将来の犯罪のもみ消し工作の拡大を迫られました。

ハスバラのプロパガンダが失敗した場合、イスラエルは自らの旧来の戦略に戻るつもりです。その中には、テロ反対派を自称し、ハマスを国際テロ組織の筆頭呼ばわりすることも含まれています。

 

フェイク発信マシーンとしてのイスラエル

 

今日、私たちは常に国際メディアでこうしたダブルスタンダードを目の当たりにしています。こうした陰謀により、イスラエルは「不条理なテロの脅威によって挑発された合理的かつ無実の主体」であると認識され、イスラエルの行動に対する批判は全てテロ支援として提示されているのです。

しかし、おそらく最も包括的な戦術は、人権侵害であろうとパレスチナ領の不法占拠であろうと、イスラエルの政策に対する一切の批判を反ユダヤ主義と結びつけることだと思われます。

近年におけるイスラエルに対する戦略的脅威の1つは、BDS運動(Boycott, Divestment, and Sanctions/ボイコット、投資撤収、制裁)の拡大です。イスラエル当局は、特に米国で反BDS法が可決されたことを受け、BDSを支持する人々を反ユダヤ主義者に仕立て上げ、BDSがテロと関連していると吹聴しようとしています。

オンライン上やネット空間では、ハサバラのプロパガンダが大手SNS企業に対し、ホロコースト記念同盟が示した反ユダヤ主義の偽りの定義を踏襲するよう迫っています。しかしその結果は、あらゆる対イスラエル批判を反ユダヤ主義とする非難の増大でしかありません。

結局のところ、ハスバラのプロパガンダの目的は、パレスチナ人の原始的ベドウィン族としての民族的イメージを作り出し、これまで以上に彼らのイメージを西側世論の意識においてより非人間的なものとして植え付け、対イスラエル抗議・批判を和らげることにあるのです。

 

 


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