アルバイン:人類の救世主イマーム・フセインの殉教40日忌
(last modified Thu, 29 Aug 2024 05:13:41 GMT )
8月 29, 2024 14:13 Asia/Tokyo
  • アルバインにパレスチナ国旗と軍服姿で参加する者も
    アルバインにパレスチナ国旗と軍服姿で参加する者も

イランの大学教授が、シーア派3代目イマーム・フセインのメッセージはイスラム教徒だけでなく、全人類および自由を愛する世界中の人々にも向けられていると指摘し、「だからこそ、アルバインのメッセージには浸透能力がある」と述べました。

【ParsToday宗教】イランの大学で教鞭をとるセイエド・マスーム・バーゲルプール教授は、「イマーム・フセインは、世代を超えた稀有な傑出した人物であり、国境や宗教の枠を超えた人物である」とし、「イマーム・フセインの運動は個人的なものではなく、神の伝統を持つ歴史的潮流である」「そのメッセージはイスラム教徒だけでなく、すべての人々に向けられている。このため、アルバインのメッセージには浸透力があり、今やアルバインほど世界中にその磁力を利かせ、これほど多くの群衆を集結させるものはない」と語りました。

以下はファールス通信によるバーゲルプール教授へのインタビューの抜粋です。


アーシュラーの産物・結実としてのアルバイン

アルバインはアーシュラー(イマーム・フセインが殉教した日)の産物そして結実であり、フセインがアーシュラーの日に犠牲にしたものはすべて、アルバインで報われた形となっている。アルバインはイマーム・フセインとその教友たちの最も美しく、倫理的かつ神秘的な具現である。このことは、イラク・カルバラーで起きたアーシューラーという災厄の深刻さを物語っている。そのことは、イスラムの預言者ムハンマドやシーア派初代イマーム・アリーにさえ、アルバインのような行事はないことからも分かる。イマーム・フセインは、アーシューラー当日だけではなく、当初から殉教者であった。なぜなら、イマーム・フセインの血は、俗世間に囚われ自らの来世を最も卑劣な行動で現世に売り飛ばした、一部の卑しい人々を無明や愚鈍から救うために流されたからである。


アルバインの役割

アルバインは精神面の1つの大きな可能性であり、万人がその傘下に集結すべきものだ。それは、複数の共同体の結束、調和、共感の源であり、実際、世界中のイスラム教徒や信仰ある人々の情愛、合理主義、収斂と団結の重心であり、人間社会・イスラム社会はイマーム・フセインという清らかな泉の飲み水を渇望しているからである。


文明化こそがアルバインの本質

今日のアルバインには社会、政治、文化的な役割がある。それは、アルバインの性質は、自己形成、社会構築、文明化、そして圧制排斥および汚れた卑劣な物の全てに対する嫌悪に向けた動きを物語っている。

もう1つは、可能性の創出である。この重要な要素により、何物にも隷属しない自由を愛するすべての人々の心が整い、兄弟愛の精神が強化される。これこそは多種雑多なものを団結させ、対立を仲間意識に転じさせるために、自分自身の中の創造物の間からあらゆる趣向・関心を集めたイマーム・フセインの情愛と優しさに他ならない。

3つ目は圧制の排斥である。暴政はいかなる形態であっても、生きているすべての人間にとって非難の対象であり、それは状況に影響を与え、残忍な心を芽生えさせ、人間の精神を苦しめる。

預言者ムハンマドの昇天後、イスラムの形態は逸脱と変容に巻き込まれた。時の支配王朝たるウマイヤ朝の体制は真実を偽り、虚偽を真実のように見せかけた。西暦680年(イスラム暦61年)にイマーム・フセインがカルバラーで殉教したアーシュラー事件の後、時の暴君ヤズィードはてっきりすべてが終わり、フセインとその教友らは殺され、彼の一族は捕虜になったと思い込んでいた。

フセイン一行を殺害したヤズィードらは自らこそが正統なイスラム教徒であると主張した。ヤズィードは自らを預言者のカリフと名乗り、フセインこそ救世主なる第12代イマーム・マハディに反抗した門外漢であり、イスラム政権に反対して社会の秩序を乱し、イスラム共同体に不和分裂を引き起こした張本人だと主張してやまなかった。

実際、カルバラーの悲劇では、真と偽の2つのイスラムが対峙し、偽のイスラムが宗教という外殻を奪い、イスラムから真実を抜き取った。言行録『雄弁の道』におけるイマーム・アリーの解釈に従えば、彼らはイスラムという衣服を裏返しに着ていたものの、実際、彼らはイスラムを抹殺したくはなく、イスラムを鈍らせ、その根幹と基盤を空虚なものにしようとしたかったのである。


アルバイン:真の節度と忍耐の象徴

4つ目の役割は忍耐を教えることである。間違いなく、シーア派のこの追悼行事は真の忍耐、堅忍不抜さ、節制の象徴であり、これらの礼節や威信の具現がイマーム・フセインの娘ゼイナブである。

偉大なる自らの兄弟らが殉教し、子供たちが孤児となった後の思慮深さ、アーシュラー後の危機管理と指導、4代目イマームとなるサッジャードの看護と世話、時の暴君ヤズィード政権の基盤の破壊、シャームの人々の眠れる意識を覚醒させたことは際立つものであるとともに奥深く、これらは圧制的な政府に対する蜂起の下地作りに成功した。


歴史に残る不朽の女傑

シャームの人々は、捕囚および捕虜の一団の帰還の知らせに歓声をあげて喜んだ。なぜなら、彼らは長期間にわたりイマーム・フセインの家族に対して憎悪と怨恨の念を抱いていたものの、突然、この歴史上の不滅の女傑の演説に感銘を受けたからである。

今日、人生の災厄や苦痛、艱難辛苦に対する忍耐が、ゼイナブの運動や文化から学ぶ方法を教えてくれる。もしゼイナブの忍耐と節制がなかったら、カルバラーの出来事は不朽不滅のものにはなっていなかっただろう。

ゼイナブの使命と彼女の残した文言、さらには彼女の忍耐と堅忍不抜さや強さ、威厳は抑圧、武力、専制という宮殿を揺るがすとともにイスラムの真の力や威信、恒久性、解放の下地を打ち立てたのであり、それは永遠に続くだろう。

これらはまさにアルバインとアーシュラーを生み出した概念であり、それが不朽不滅のものとなるべく、イマーム・フセインとその教友らは命がけの作戦を挙行したのだ。

現代のアルバインのメッセージは、イスラム教徒の団結や共感の源となっている。今や万人が信じ実践すべきアルバインのメッセージの重要な指標は自由、人間的な倫理、圧政への対抗、欺瞞と偽善の排除、偽善と二面性の拒否、忍耐と堅忍不抜さ、正義と公平の追求であり、この重要なアルバインのメッセージである人間的な法規範に、我々は注目する必要がある。

 

 


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