イラク最新情勢;騒乱で数十名が死亡、数百名が負傷
8月 30, 2022 14:41 Asia/Tokyo
イラクで複数の勢力が新政権発足の合意に達せず、数ヶ月の政局行き詰まりの後、再び街中が情勢不安に見舞われています。
29日月曜、イラクの政治活動家ムクタダ・サドル師が声明を発表し政界からの引退を表明しました。
この声明が出された後、サドル師派の群集が首都バグダッドにある政府庁舎を襲撃しました。
その数時間後に夜間外出禁止令が発令され、治安部隊が大統領府を制圧した後、サドル師支持者は現場から退去しています。
イラク医療筋は、「バグダッド市内の政府系中枢機関や議会などがあるグリーンゾーンで29日月曜、衝突が発生し、多数の治安部隊を含む 20人が死亡したほか、350 人が負傷した」と発表しました。
ライースィー・イラン大統領は29日、テヘランを訪問中のフセイン・イラク外相と会談し、「イラクの安全・安定の確立は、憲法に基づく新政権発足をめぐる、イラクの全勢力間の対話によってのみ可能である」と述べています。
また、アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相も同日、フサイン外相との会談で、法的機関への尊重およびイラク国内の挙国一致の位置がきわめて重要であるとしました。
そして、イラク政府の確実な維持および、法的プロセスの枠組みでのイラク国内問題の解決を強調しています。
イランは現在、イラクとの陸の国境をすべて閉鎖し、追って発表があるまでイラク向けの全便を欠航としました。
イラクでは議会選挙実施から約10か月が経過したものの、国内の各政党や勢力は、大統領と首相の任命について合意に達していません。
イラクの政治的な行き詰まりを打開するため、成立して間もない議会の解散と再選挙の実施が提案されています。