視点
中国・サウジの共同声明と一連の主張に反論したイラン
イラン大統領府ジャムシーディー政治担当副副長官が、習近平中国国家主席のサウジアラビア訪問での表明に反応しました。
ジャムシーディー氏は習近平国家主席の表明に反応し、「我々のパートナーである中国の関係者は、サウジアラビアとアメリカがシリアでISISやアルカイダなどの国際テロ組織を支援し、また残忍な軍事攻撃でイエメンを破壊していた時、地域で治安と安定が樹立し、テロがアジアや西側に広がらないよう、テロリストらと戦ったのがイランだったことを認識しておくべきだ」と述べています。
習近平国家主席とサウジ高官との会談の後、両国は9日金曜に共同声明を発表し、その中ではイランに対するいくつかの主張と要求が提起されています。この共同声明では、中国とサウジは、イランとの核合意の復活における西側諸国の妨害には言及することなく、イランの核計画の平和性の保障に向けた中国・サウジ間の共同協力の強化の必要性が強調されています。そしてイランに対しては、IAEA国際原子力機関との協力、およびNPT核兵器不拡散条約の遵守が求められています。中国とサウジはまたこの声明でにおいて、イランが善隣外交の原則を尊重し、他国の内政に干渉しないことの重要性を強調しました。
こうした成り行きは、中国とサウジの共同声明発表で終わりませんでした。それは、その発表後、習国家主席は、GCCペルシャ湾岸協力会議の加盟国首脳らとの共同会合で、イランを批判する声明に署名したからです。この声明では、ペルシャ湾岸のアラブ諸国とイランとの間の関係が善隣・内政不干渉の原則に従い、他国の独立、国家主権および領土保全を尊重し、国連憲章と国際法に基づいて平和的手段を通じて紛争を解決し、それに対する武力行使または威嚇を行わず、地域的および国際的な安全と安定を維持するという原則に基づくべきものであることが強調されています。
こうした主張が提起されている中、否定できない事実がこれらの主張者とは反対の事柄を示しています。第一に、IAEA国際原子力機関とそのさまざまな報告によれば、イランの平和的な核計画は、軍事目的の方向には一切逸脱していません。このことは、グロッシIAEA事務局長 によって最近再び強調されています。さらに、アヴリル・ヘインズ米国家情報長官は数日前に、イランが核兵器製造という決定を下したことを示す情報はないと述べました。これらの事例は、中国とサウジの声明における主張に反して、イランが自らの核活動の平和性の保証を必要とするような、核計画の軍事化の意図がないことを示しています。さらに、中国は5カ国グループのメンバーとして、イランの核計画が平和的であることを常に表明し、支持してきました。
中国とサウジアラビアの共同声明で提起されたもう1つの重要な問題は、イランが近隣諸国の内政に直接干渉し、ある意味で善隣外交政策を順守していないと間接的に非難している点です。しかし、こうした内容は根本的に誤ったものです。実際、サウジは、ペルシャ湾岸協力会議の他のいくつかの加盟国とともに、2011年にシリアで情勢不安勃発後に、西側・アラブ連合軍という形で、トルコとともに、あらゆる種類のテロ組織に軍備を与え武装させ、数年間にわたりシリア市民に長期間の戦争を押し付けたものの、これは失敗に終わっています。一方、ジャムシーディ氏が指摘しているように、イランは、同盟国と共にシリアとイラクにおけるサウジとアラブ系の因子に支えられたテロと全力で戦い、これを粉砕しました。
また、2015年3月以降、サウジ政権はUAEアラブ首長国連邦と共にイエメンに対し残忍な流血戦争を開始しました。その結果、数万人ものイエメンの人々が死傷し、国のインフラが破壊されました。このことは、サウジの好戦的で内政干渉的な地域政策をまざまざを物語るものです。
これらすべての問題は、イランの核計画と地域政策の両方の行動が正しく論理的な根拠に基づいており、イランに対する主張が完全に事実無根であることを示しています。