アメリカの忠言を無視するサウジアラビア
(last modified Sat, 10 Jun 2023 11:34:38 GMT )
6月 10, 2023 20:34 Asia/Tokyo
  • ブリンケン米国務長官とサウジアラビアのファイサル外相
    ブリンケン米国務長官とサウジアラビアのファイサル外相

アメリカの情報筋が、「サウジアラビアは、中国とロシアから距離を置くよう求めるアメリカの要求を拒否し、自国の外交政策の独立を強調している」としました。

ブリンケン米国務長官は最近、サウジを訪問して同国の政府関係者と会談・協議しました。

米高官がここ1カ月のうちにサウジを訪問するのは、ブリンケン氏が2人目です。先月には、サリバン国家安全保障担当大統領補佐官も、サウジ政府関係者との会談を目的に同国の首都リヤドを訪問しました。

ブリンケン長官およびサリバン補佐官のサウジ訪問でなされたのは、ウクライナ戦争でのサウジの立場、そしてロシアと中国へのサウジの接近、OPEC・石油輸出国機構の産油量削減、サウジの対イラン国交回復、そしてシリアのアラブ連盟復帰への同意という一連のサウジの行動への不満と抗議の意を伝えることでした。

サウジ当局者の声明やメディア報道は、同国が米国政府の要求に反対していることを如実に物語っています。また、サウジのファイサル外相はブリンケン氏との共同記者会見で、「中国はわれわれの最大の貿易相手国であり、当然のことながら中国とは多くの交流や共通点を持つことになるだろう」と述べました。

米紙ニューヨーク・タイムズは、「サウジ政治の実権を掌握しているムハンマド皇太子とその側近らは、世界の大国どうしの競争でいずれかの側につく必要はなく、そのいずれとも強固な関係を維持することのメリットを念頭に置いていることを明言した」と報じました。

ここで重要な点は、サウジメディアも同国当局と足並みをそろえて行動し、米国当局者の訪問を歓迎しなかったことです。ブリンケン氏とムハンマド皇太子および、ペルシャ湾岸協力会議加盟国の外相らとの会談はメディアの間で冷ややかな視線で報じられ、サウジの2大紙であるアル・ワタン紙とアカズ紙も一面では報じませんでした。

しかし、サウジはなぜ、自らの外交政策を転換し、アメリカからの独立に舵を切ったのでしょうか?

サウジが対米関係でこうした政策を進めている主な理由は、サウジを統治するサウード王家が「米国はサウジを同盟国ではなく、自らの利益のための手段とみなしている」という結論に達したことが背景にあります。

サウジはアメリカからの外交政策に関する忠言を実施するために多額の国費を投じたものの、米はサウジ政府を擁護せず、逆にサウジに圧力をかけています。このため、近年ではトランプ前政権とバイデン現政権の両方から軽蔑的にあしらわれたサウジは、アラブ世界の最重要大国としてのアイデンティティを復活させようとしています。

さらに、サウジ国王の後継者と目されるムハンマド皇太子は、米国が自らを支援してくれるとは考えておらず、現在の米国政府がサウジに反対していることを認識しているのです。

 


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