7月 21, 2024 19:16 Asia/Tokyo
  • イスラエルがイラン新大統領を懸念する理由:米シンクタンクの見方
    イスラエルがイラン新大統領を懸念する理由:米シンクタンクの見方

米シンクタンク・大西洋評議会は、シオニスト政権イスラエルが、イラン新大統領に選出されたマスウード・ペゼシュキヤーン氏について懸念している複数の理由を論じました。

【ParsToday西アジア】ペゼシュキヤーン氏がイラン新大統領に選出されたことにより、イスラエル内では深刻な懸念が生じました。ラズ・ジンムト氏による論説「ペゼシュキヤーン氏はイスラエルに対抗する圧力になる可能性がある」は、こうした懸念の主な理由について論じています。ここでは、ジンムト氏が指摘する理由について取り上げます。

 

1.抵抗の枢軸に対する支援の継続

ジンムト氏の見解では、イスラエル政権がペゼシュキヤーン氏のイラン大統領就任を懸念する最大の理由の一つは、同氏が抵抗の枢軸への支持を表明していることです。ペゼシュキヤーン氏は、今月8日にレバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラーのナスロッラー事務局長に宛てた書簡の中で、抵抗勢力への支持継続を強調しました。ペゼシュキヤーン氏はその中で、

「イランは、シオニストによる違法な政権イスラエルに対する地域住民の抵抗を常に支援してきた。抵抗への支援は、わが国の基本政策、わが国の建国者たる故ホメイニー師の掲げた理念、さらには最高指導者ハーメネイー師の教示に根ざしており、それは今後も着実に続くだろう」

としています。

 

2.イスラエルに対するイランの姿勢は不変

ジンムト氏はまた、「イスラエル市民の間では、ペゼシュキヤーン氏が選出されたとはいえ、イラン新大統領がその政策に目立った変更を加えることはないだろう、という考えが強まっている」とし、それを裏付ける例として、あるシオニスト研究者がペゼシュキヤーン氏の書簡への反応としてXに投稿した次の内容を挙げました。

 

「ここにいる誰かが、ペゼシュキヤーン新大統領がイスラエル解体を目指すという政策を変えるだろうと考えているなら、この書簡(=ペゼシュキヤーン氏からナスロッラー氏への書簡)がその解答である」

 

3.外交政策の全面変更の権限は持たない大統領

ジンムト氏はさらに、「イランの政治構造において、大統領は内政に関してより大きな権限を持ち、外交政策を変更する能力は限られている」と指摘しています。同氏は、地域の抵抗運動においてイラン・イスラム革命防衛隊および、同ゴッズ部隊が大きな役割を果たしていることから、この分野への大統領の介入余地は制限されているとみています。この主張には多くの欠陥があるものの、世界の大半の民主主義国家では、政府だけが外交政策決定するのではなく、国会や国家安全保障会議も法の制定を通じてこの分野に影響力を持っています。いずれにせよ、ジンムト氏は、これがシオニスト政権支持者たちがイスラエルに対するイランの立場の変化を期待しなくなった理由の一つだと見ています。

 

4.イラン・西側諸国間での対話継続はイスラエルにとって危険

ジンムト氏によれば、イスラエルにとってペゼシュキヤーン新大統領就任による懸念事項の一つは、イランの元核協議交渉担当で同国外務次官などを歴任したアッバース・アラーグチー氏の外相就任が取り沙汰されていることです。この人事により、西側諸国との外交対話の再開や核問題の政治的解決策が見つかることへの期待が高まる可能性がありますが、これこそはまさにイスラエルにとっての害悪となります。なぜなら、イランが西側諸国と協議しないという選択をすれば、イスラエルは「対イラン交渉は無意味で圧力を強化する必要がある」と国際社会に向けて訴えることができるからです。

 

5.イランの核・軍事計画への懸念

さらに、イランの平和目的の核開発計画の進展と最先端の軍事システムの開発もイスラエルにとって戦略的懸念を引き起こしています。これらの懸念には、核開発計画の進展、長距離ミサイルの開発、最新鋭の無人機などが含まれます。前出のヒズボッラーに加えて、パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマス、パレスチナ・イスラム聖戦運動などの地域の抵抗組織をイランが支援し続けていることも、イスラエルの安全保障に対する深刻な脅威とみなされています。

 

結論

イスラエルでは現在、ペゼシュキヤーン氏がイラン新大統領に選出されたことで懸念が高まっています。その要因としては、ペゼシュキヤーン氏が抵抗の枢軸への支援を約束し、イスラエルに対するイランの強硬姿勢継続を支持していること、イランの核開発と軍事面での進歩、そしてイランと西側諸国との関係発展が挙げられます。

 

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram     Twitter     


 

タグ