旧来的な仮説の終焉:サウジは12日間戦争後のイランとの直接交渉を模索
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サウジのムハンマド皇太子(右)がアラーグチー・イラン外相と会談
西アジアの地政学的なニュースを主に報じるオンライン雑誌「The Cradle」が、「サウジアラビアはイランを、直接交流すべき看過できない地域勢力とみなしている」と報じました。
このオンライン雑誌は「シオニスト政権イスラエルの脆弱性と米の安全保障の傘の衰退を露呈させ、外部から強制された12日間の戦争で、イランがシオニスト政権イスラエルの侵略に応じて計算された戦争戦略を採用したことを受けて、サウジは地域の安全保障に関する従来の想定・仮説を放棄することを迫られ、現在ではイランを、直接対話を必要とする看過しがたい地域の有力勢力と見ている」としています。
【ParsTodayイラン国際】イスナー通信によりますと、イランとイスラエルの最近の対立は、特にペルシャ湾岸地域における地域の力関係に決定的な変化をもたらし、イランの直接的かつ計算された軍事的対応はイスラエルの戦略的脆弱性を露呈させ、ペルシャ湾岸諸国の政府、特にサウジに、地域の安全保障に関する旧来からの想定・仮説の再考を迫る結果となっています。
イスラエルは先月13日金曜朝、イランへの攻撃を開始しました。この攻撃ではイランの核施設、軍事施設のほか、医療センターやテヘランのエヴィン刑務所、住宅街などの民間施設が標的となり、それにより多くの軍高官、核科学者、民間人が殉教しました。
その後の先月22日には米国がイスラエル政権と共同する形で、テヘラン南方フォルドゥ、イラン中部イスファハーンおよびナタンズにある核施設3カ所を地中貫通爆弾で攻撃しました。イランの領土保全と国家主権に対するこの攻撃は、イランの核開発計画の制限および、対イラン制裁解除に関する合意をめぐる米・イラン間の間接交渉の最中に発生したものです。
ドナルド・トランプ米国大統領は、欺瞞的に外交の機会の存在を指摘する一方で、イスラエルによるイラン攻撃計画を察知し、これを全面的に支持していた事実を認めていました。
一方、イランは「真の約束3」作戦および「勝利の吉報」作戦を通じてこれらの攻撃に対抗しました。その結果最終的に、先月24日に米国が提案した停戦により、対イラン攻撃は停止されました。
オンライン雑誌「The Cradle」は、ある記事において以下のような序文により「米国とイスラエルの指導の下での長年にわたる政治、軍事、外交的失敗により、ペルシャ湾諸国はより対立のない恒常的な安全保障体制へと向かったが、現在我々が目にしているのは、時代遅れの同盟関係が徐々に崩壊し、イランとの実践的かつ実利的なルートが開かれていることである」としています。
さらに「イランの戦争戦略は地域の予測・期待を一変させた」とし、「正確な打撃、地域同盟、計算ずくでの措置強化に依拠した最近の軍事紛争も対するイランの対応は、新たなレベルの抑止力を示した」とも述べています。
イランは地域ネットワーク、ミサイル基地、最新鋭の無人機を活用してこの紛争を慎重に管理し、全面戦争を回避しましたが、同時に必要な場合の紛争拡大および抑止の面での能力があることを、敵側に明確に伝えた形となっています。
「The Cradle」によれば、この戦略がペルシャ湾岸諸国に伝えたメッセージは「イランは孤立も脆弱化もしておらず、逆に一大戦争に突入せずに様々な戦線で戦果を挙げる能力がある」という内容だったということです。