ガザ:最小の領土、最大の愛国心の教訓
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パレスチナ・ガザ地区はもはや、封鎖された一区域ではなく、廃墟の中で故郷に留まろうという叫びを轟かせる全ての老若男女の声と化しています。
(last modified 2025-09-28T06:02:07+00:00 )
9月 27, 2025 12:50 Asia/Tokyo
  • ガザ:最小の領土、最大の愛国心の教訓
    ガザ:最小の領土、最大の愛国心の教訓

パレスチナ・ガザ地区はもはや、封鎖された一区域ではなく、廃墟の中で故郷に留まろうという叫びを轟かせる全ての老若男女の声と化しています。

【ParsToday西アジア】もはや人の住む区域の路地とは思えない路地裏では、高齢者のパレスチナ人女性が腰が曲がっていながらもしっかりと大地に足をつけて立ち、歴史の記録を撮影中のカメラの前で「私はこの地に最後の一滴の血を流すつもりだが、決してここを離れるつもりはない」と語っています。

この声は、ガザを封鎖された一都市としてではなく、「領土に留まる」という現代人の最大の教訓の舞台として捉える数千もの声に酷似しています。
 

人間的な側面:大惨事の狭間にある小さな物語

今日のガザはどのような地図や社会的報告書よりも、日常生活や人間生活の細部を特徴づけるものです。10歳の少年が自宅の壊れた階段に座っており、家族の誰がこの困難な道を彼と共に歩いているのかは全く分かりません。兄弟は水を求めて列に並び、父親は家の鍵を握りしめていますが、その鍵で開けるべき家はもはや存在しません。それでもその鍵と家屋は彼のアイデンティティの一部であり続けています。こうした光景を目にすることは、単なる悲劇を超えたものです。これらは抵抗の象徴であり、パレスチナ文学で「スムード(忍耐)」と呼ばれる類の抵抗の象徴というべきものです。この言葉は、軍事的な抵抗を超えて、国土に根ざし自らのルーツを守ることを意味しているのです。
 

パレスチナの抵抗の文学と詩歌

20世紀半ば以降、マフムード・ダルウィーシュ、サミー・アル=カシム、ファドウィ・トゥカンといったパレスチナの詩人らは、人間と祖国の大地との切っても切れない絆というテーマを繰り返し取り上げてきました。パレスチナにおいて、詩と文学は芸術であるとともに、メディアや公式の集会に姿を現すことを許されなかった世代にとって、政治・文化的言語でもあったのです。赤ん坊を抱きかかえて瓦礫の中に立っているパレスチナ人女性は、実はこれらの詩人たちが何年も前に比喩と言葉の形で作り出した概念を叫んでいると言えます。それは、祖国はほかの土地に持ち去ったり他者に売却できるものではなく、どんなに困難な状況にあっても留まらなければならない場所である、というものです。
 

政治と歴史における「留まる」ことの意味

多くのガザ市民にとって、故郷を離れることは単に命を救うことではなく、歴史を他者に委ねることになります。1948年のイスラエル創設にともない多くの人が難民となった「ナクバ」の経験は、今なお彼らの脳裏に生々しい記憶として残っています。数十万人ものパレスチナ人が帰還を夢見ながらも故郷を追われ、二度と戻れなくなっています。今日、瓦礫の中に留まることを選んだ人々は、事実上、歴史と対話しているのであり、かつて自分たちに起こったことを繰り返さないようにしようとつぶやいているのです。

今日のガザは、今世紀最大のパラドックス(逆説)と言えるものです。地理的には非常に小さいこの地域は今や「世界で最も危険な地域」であると同時に「愛国心を育む最も重要な教室」にもなっているのです。瓦礫の中に立ちつくすあの老女は、歴史書に記録こそされないかもしれませんが、彼女や彼女のような数千人もの人々は、この言葉に新たな意味を与えています。それは「酸素供給装置が停止し給水の列に並びながらも、祖国は依然として生きている」ということなのです。
 

 


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