ハマス:38年間、抵抗の軌跡
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ハマス:38年間、抵抗の軌跡
パレスチナ・イスラム抵抗運動(ハマス)は、1987年の第1次インティファーダから生まれ、数十年にわたる政治的および軍事的な戦いを経て、今回、イスラエルとの新たな停戦合意に至りました。この合意は、パレスチナと地域の状況を根本的に変える可能性を秘めています。
【ParsToday西アジア】過去30年以上にわたり、ハマスの名前は常に抵抗、忍耐、そして政治と結びついてきました。ハマスは、イスラエルによる占領を終わらせ、パレスチナの土地を解放することを目的として設立されましたが、現在では、イスラエルとの2年間にわたる血なまぐさい戦争を経て、停戦合意に達し、パレスチナの闘争における新たな段階が始まる可能性があります。しかし、ハマスはどのようにしてここまでたどり着いたのでしょうか? そして、今回の合意は将来にどのようなメッセージを送るのでしょうか?
ハマスの誕生:インティファーダから
ハマスは1987年にシェイフ・アフマド・ヤシン氏とアブドゥルアズィズ・ランティスィ氏によって設立されました。当初の綱領では、国家としてのイスラエルを消滅させ、パレスチナの占領地を全て取り戻すことを強調していました。占領者であるイスラエルの犯罪に反応する形で、ハマスは早い段階で武力闘争に加わり、1990年代にはバス爆破など様々な作戦を行い、抵抗運動の主要なグループの一つとして名を刻みました。
選挙からファタハとの対立へ
時が経つにつれ、ハマスは軍事面だけでなく、政治面でも力をつけました。2006年の議会選挙では、ハマスが議席の過半数を獲得し、政治の舞台で勝利を収めました。しかし、この勝利は長年のライバルであるファタハとの緊張を引き起こしました。2007年の激しい衝突は、ガザ地区とヨルダン川西岸地区の実質的な分裂をもたらし、ハマスがガザ地区を支配することになりました。
立場の変化と新しい綱領
2017年、ハマスは新しい綱領を発表し、1967年の境界線に基づいたパレスチナ国家の設立を求める一方で、イスラエルの存在を認めることはありませんでした。この立場の変化は、ハマスが国際的な政治環境との関係を深めようとする努力を示しています。その一方で、ハマスは常に抵抗の原則とパレスチナ難民の帰還を強調しています。
3度の戦争と絶え間ない抵抗
2008年、2012年、2014年の3度にわたって、ハマスはイスラエルとの大規模な軍事衝突を経験しました。これらの戦争は激しい爆撃と人的・物的損害を伴いましたが、ハマスの抵抗戦線の持続力と敵に対する打撃力は、多くの識者から高く評価されました。
10.7と世界的反響
2023年10月7日、ハマスは「アクサーの嵐」作戦を開始しました。この作戦は、イスラエルによるパレスチナ人に対する増大する犯罪への反応でした。イスラエルはこれに対し、ガザ地区に対する広範な戦争を開始しました。統計によると、2023年10月7日の戦争開始以来、6万7000人以上のパレスチナ人が犠牲となり、約170万人が負傷しました。世界のメディアはこの戦争を「現代のジェノサイド」と呼び、イスラエルの犯罪の深刻さを懸念しました。
シャルム・エル・シェイク合意:新たな段階の始まりか?
今月9日、エジプトのシャルム・エル・シェイクで行われたハマス、イスラエル、カタール、トルコ、アメリカによる集中的な交渉を経て、ハマスとイスラエルの間で停戦合意が発表されました。この合意には、戦争の終了、イスラエル軍の完全撤退、人質交換、そして人道支援物資の供給が含まれています。イスラエルのメディアも、ハマスが単に降伏したわけではなく、強力に再出発したことを認めざるを得ませんでした。イスラエル紙『イェディオト・アハロノト』が報じたパレスチナ人収容者の解放の写真は、抵抗の意思の勝利を象徴するものとなりました。
ハマスと抵抗運動の軸、そしてパレスチナの未来
ハマスは創設当初から、イランやヒズボッラーなどとともに抵抗の枢軸の一部として活動してきました。これらの協力は、特に軍事的および政治的な面で、抵抗運動の継続に重要な役割を果たしてきました。ハマスは最近の声明で、パレスチナ人民の完全な権利が実現するまで、自らの道を進み続けると強調しています。また、ハマスの指導者たちは、ガザ地区の復興、難民の帰還、エルサレムを首都とする独立したパレスチナ国家の樹立が、地域的および国際的な優先事項となるべきだと述べています。ハマスの報道官は「アクサーの嵐は単なる作戦ではなく、抵抗の歴史における転換点であり、占領者の実態を暴露した瞬間だった」
ハマスの歴史は、第1次インティファーダからシャルム・エル・シェイク合意に至るまで、占領に対する抵抗の物語です。新たな合意が結ばれた今、パレスチナの未来は停戦後の展開に大きく依存しています。しかし、確かなことは、ハマスの政治的および地域的な抵抗運動における役割は、これまで以上に重要になったということです。多くのパレスチナ人にとって、ハマスは抵抗、希望、そして忍耐の象徴となっているのです。