解説;イエメンによる海上封鎖でサウジが直面する新たな問題
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紅海とアデン湾を結ぶバブエル・マンデブ海峡
イエメンによる対サウジアラビア海上封鎖と、並びにサウジ産原油を輸送するタンカーに対してのバブ・エル・マンデブ海峡の閉鎖が、サウジアラビアにとって新たな問題を生み出しています。
【ParsToday西アジア】今月20日、イエメン軍はサウジアラビアに対する海上封鎖を正式に宣言しました。この措置は、イエメン首都サヌアの空港に対するサウジの空爆および、12年にも及ぶ対イエメン封鎖の継続に対抗したもので、緊張は2022年の停戦以来、前例のないレベルにまで高まっています。この措置は、サウジの継続的な対イエメン封鎖に対するもので、イエメン側は「封鎖に対する封鎖」の原則に基づき、サウジの海上交通を禁止しています。実はこのことが、サウジにとって前例のない問題を引き起こしているのです。
サウジの石油タンカーに対しバブ・エル・マンデブ海峡が閉鎖されたことで、同国の石油を世界市場に輸出するコストが増大し、タンカーはアジア各地の目的地への到達のためにアフリカ大陸全体を迂回せざるを得なくなっています。紅海におけるイエメン軍の警告と作戦により、サウジの石油タンカーはアジアの最終目的地に到達するのに、バブ・エル・マンデブ海峡からスエズ運河へと逆方向に転換して地中海に入り、アフリカ大陸全体を迂回するという遠回りなルートをとらざるを得なくなっているのです。
1970年代や1980年代にはサウジ産原油の主な買い手は欧米諸国だった一方、現在では買い手の大部分は極東アジア、特に中国に集中しており、これはサウジにとって大問題と化しています。サウジ産原油を積んだタンカーはアフリカ大陸を迂回するために何日もの航海を迫られる上、輸送コストも上昇しています。例えば、紅海に面したサウジ西部・ヤンブー港から台湾までタンカーで原油を輸送するコストは100万ドル以上も増加しているのです。
もう1つの問題は、地中海と紅海を結ぶスエズ運河を経由してのタンカーによる貨物輸送です。この点に関して、エネルギー市場を専門とする英調査会社エナジー・アスペクツは「大型タンカーは一連の規制が実施されているために、本来の許容量の半分のみ積載した状態でスエズ運河を通過し、地中海で貨物を積み込まねばならない事態にある」と報告しています。
イエメンによる封鎖は、サウジアラビアの重要な海上航路に対する直接的な脅威となっている模様です。この問題の中心となっているのが、世界貿易の12%が通過するバブ・エル・マンデブ海峡なのです。イエメンはサウジのタンカーの入港を禁止しています。サウジ東部から紅海沿岸のヤンブー港まで、1日700万バレル以上の石油を輸送する東西パイプラインは、今や深刻な脅威にさらされています。しかもこの封鎖措置は、イランによるホルモズ海峡封鎖と同時期に実施されており、サウジの海上輸送手段を事実上遮断した形となっています。
こうした中、イエメンによる海上封鎖はサウジアラビア経済に大きな打撃を与えています。複数の報告によれば、代替ルートでは原油1バレルあたり9ドルの追加コストが発生し、サウジの財政に大きな負担がかかる上、国際市場における同国産原油の競争力の低下をまねきました。実際、タンカー1隻あたりの(運搬)燃料費は約126万ドルから287万ドルに増加し、スエズ運河通行料を含めた1回あたりの航海費用は約250万ドルも増大しています。
IMF国際通貨基金によれば、2026年のサウジアラビアの経済成長率はわずか2%程度と予測されています。エコノミストらは、封鎖が続けば原油価格は1バレル150ドルを超える可能性がある、とも推定しています。これまでに16隻ものサウジの船舶が引き返すことを余儀なくされ、また少なくとも3隻のタンカーが攻撃対象となったことから、イエメンによる海上封鎖が作戦上有効であることが明らかになっています。
一方、イエメン側は、サウジ西部ヤンブー及び南部ジザンにあるアラムコ石油施設、およびジザン市に対するミサイル・無人機による攻撃を強化しています。ジザンの製油所は完全に炎に包まれ、大部分が破壊されました。また、サウジ側の防衛システムは、ヤンブーの製油所に向けて発射された弾道ミサイルを迎撃しており、このことは同国の重要なインフラに対する深刻な脅威が生じていることを示しています。
これらの衝突が発生した中で、サウジは2022年以来イエメンでの新たな戦争勃発の回避に努めてきたものの、目下のところ軍事、経済、政治の側面を含む戦略的危機に直面しています。
したがって、イエメンによる海上封鎖は地域の戦略的均衡を一変させ、サウジアラビアを前例のない状況に陥れたと言わざるを得ません。現在では、イエメン封鎖を自ら立案したサウジ自身に自らの政策の苦味がブーメランとなって跳ね返ってきています。この状況が続けば、エネルギー部門の危機はさらに深刻化し、世界の石油市場の不安定化が進み、地域情勢の緊張が高まる恐れがあります。この危機を解決するには、サウジが軍事的解決策にとどまらず、自らの対イエメン政策を根本的に見直し、12年に及ぶイエメン封鎖の終結に向けた公正な解決策を受け入れることが不可欠なのです。
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