視点、新しいイラク首相が直面する問題
イラクのサレハ大統領は、昨夜1日土曜夜、アラウィ氏を新首相に指名しました。
イラクでは昨年10月1日以来、反政府抗議が続いています。経済、社会、政治面での対立がイラク国民の反政府抗議のきっかけでしたが、外国の介入と逸脱した内部事情により、事態は暴力化していきました。 このため11月30日、アブドゥル・マフディ首相が辞任し、12月1日には議会もその辞任を承認しました。 アブドゥル・マフディ元首相はそれからの2か月間、暫定首相を務めることになりました。
この2か月の間に、首相候補として多くの人の名前が挙がりましたが、抗議者の反対により、サレハ大統領は、誰一人として新内閣を組閣する人物を指名することができませんでした。そのような中、最終的にアラウィ氏が首相に指名されました。アラウィ首相に関してイラクの政治団体からの統一した声は聞かれませんが、新しい首相の指名は、それがイラクにおけるこの2ヶ月の政治空白の終結につながるのであれば、一つの政治的な成果と言えます。
イラク問題の専門家であるガラビー氏は、「合意による首相の選任により、長期的で緊張の多いプロセスにおいては強力な政府の形成を楽観視することはできないが、新内閣の組閣と新政府の発足は、状況を落ち着かせ、前進を助ける一歩となりうる」 と語っています。
新イラク首相は、暫定的に短期的な問題に直面するでしょう。 新内閣の組閣は、当面の問題の1つです。 アラウィ首相は、新内閣を政治的派閥から避けて組閣すると発表しましたが、イラクの権力構造は、政治的配分を無視するのが非常に難しいものとなっています。
アラウィ新首相が直面しているもう1つの主要な短期的課題は、国内での抗議と政情の不安の継続です。イラク各都市の抗議者の一部は、アラウィ氏の首相就任に反対を表明しており、アラウィ氏が彼らが求める首相ではないとしています。その理由は、アラウィ氏は、すでにイラクで権力を握ったことがあり、近年はイラク国外に居住していたことにあります。
抗議者の一部によるこの不満に注目し、アラウィ氏は、イラク新首相に指名されて最初の演説で、国民の要望が自らの最優先事項であると述べました。
アラウィ氏はイラクの暫定首相となり、約1年後には早期議会選挙の実施と新内閣の組閣の下地を整える義務を負うことになります。 イラクが政治的および治安的に直面する状況を考えると、早期選挙への準備を整えることは至難の業です。
最後に、アラウィ氏が直面している内部的問題に、外国の介入から生じる問題について言及する必要があります。その最も重要な1つは、米国政府によるイラク内政への明確な干渉です。
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