ロシア・イスラエル関係の緊張増大
(last modified Tue, 03 May 2022 11:58:56 GMT )
May 03, 2022 20:58 Asia/Tokyo
  • シオニスト政権イスラエルのベネット首相とロシアのプーチン大統領
    シオニスト政権イスラエルのベネット首相とロシアのプーチン大統領

ロシアとシオニスト政権イスラエルとの関係は、ロシアによる対ウクライナ攻撃が始まって以降、西側に同調する同政権が反ロシア的態度をとっていることにより新たな緊迫状態に入っています。

最近の二国間関係の緊張の中、ロシアのラブロフ外相による発言は、両政府の関係に新たな論争を巻き起こし、シオニスト政権当局者の強硬な態度のもととなりました。

ラブロフ外相は先日、イタリアのテレビ局とのインタビューにおいて、「ウクライナのゼレンスキー大統領自身がユダヤ教徒であるのに、どうしてロシアはウクライナにおいて『脱ネオナチ』を追求していると主張するのか?」という質問に答えて、「ゼレンスキー大統領の論理は、自身がユダヤ教徒だというのにどうやって自国内にネオナチが入り込みうるのか、というものだ」とした上で、この考えに疑問を呈して、「私が間違えている可能性もあるが、ヒトラーの体にはユダヤ教徒の血が流れていた」と述べました。

これに関して、シオニスト政権イスラエルのベネット首相は、ヒトラー・ユダヤ人説が「非常に危険」かつ、真実に反する受入れがたいものであるとして、「このような発言を行う目的は単純に、ユダヤ教徒を批判し、歴史を通じてユダヤ人に対し行われてきた悲劇的な犯罪に、ユダヤ人自身が関与しているとして非難することにある」としました。

また、イスラエルのラピド外相も2日月曜、ラブロフ外相のこの発言を強く批判し、ロシア大使を呼び出して抗議を表明したうえで、この件に関する説明を求めて、「同外相の発言は許しがたく恥ずべきものだ」と述べました。さらに、シオニスト政権のほかの関係者およびユダヤ社会の指導者らも、ラブロフ外相の発言を厳しく批判しています。

しかし、このラブロフ外相の発言の目的は、シオニスト政権がウクライナ戦争に対する中立的立場や両当事国への政治的解決の呼びかけから徐々に変化し、西側諸国に対する支持やウクライナへの武器供給という、ロシアへの明白な敵対的態度と受け取れるものになっていったこと対しての、ある種の抗議であるとともに、シオニスト政権に対するロシア政府からの警告のように見受けられます。

ゼレンスキー大統領は今年3月末、イスラエル議会の議員らを前にしたオンライン演説において、ロシアに対してウクライナを支援することで中立の立場から「選択」を行い、ウクライナに武器を供給するよう、シオニスト政権に求めました。

イスラエル当局は、以前にはウクライナに防衛機器を提供していたものの、最近は同国への武器支援を行っていないと主張しています。しかしこの主張に反して一部の証拠は、この数ヶ月の情勢やアメリカ主導の西側諸国による反ロシア措置の激化から、シオニスト政権がいわゆる歴史的な選択を行って、西側の反ロシア措置に同調することを選んだことを示しています。

このことは、特にラピド外相が取る、ウクライナにおけるロシアの戦争犯罪への非難という姿勢に集約されています。この同外相の非常にデリケートな問題に対する立場は、実際に緊張を扇動するとともに、ロシアとイスラエルの両政権の間を前例のないほどに冷え込ませました。ラブロフ外相の最近の姿勢も実のところ、このようなイスラエル外相の非難に対するロシア政府の反応と見られるのです。

ウクライナ戦争に対するイスラエルの姿勢のゆるやかな転換は、シオニスト政権と良好な関係を保つよう努め、同政権の首脳らを常に厚遇してきたロシアにとって、非常に高くつくものです。このため、ロシア政府はシオニスト政権との関係の根幹やその内容について根本的な見直を行い、同政権によるパレスチナ人の扱いやシリアへの度重なる攻撃などの行動に対し、新たな態度を取ることが予想されます。

 


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