ブルームバーグ、「サハリン2めぐりロシアと西側・日本間でエネルギー資源闘争」
「サハリン2」に関連する特別経済措置に関するロシアのプーチン大統領の決定が、エネルギー資源をめぐって西側と日本の間の厳しい戦いに発展すると見られています。
プーチン大統領は先日、大統領令「一部の外国、及び国際組織の非友好的な行動に伴う燃料エネルギー分野における特別経済措置の適用について」に署名しました。これに伴い、石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」の事業主は現行の「サハリン・エナジー」から、新たに設立されるロシア法人に移行し、この事業に出資していた外国企業は、 事業への継続、又は株式の売却を1ヵ月以内に決定する義務が発生しました。外国企業が保有する株式を売却する場合、その利益は新たに設立されるロシア法人が受け取ることになります。
ブルームバーグのアナリストが執筆した記事によりますと、インタビューを受けた専門家は、この決定が西側の世界の燃料市場を狭め、代替の輸入元をめぐって欧州と日本の間の競争を引き起こすという見解を示しました。
日本エネルギー経済研究所の橋本裕研究主幹も、「日本に競争力のある価格で燃料を供給していた『サハリン2』プロジェクトがこのような危機に瀕していると、スポット価格がさらに上昇し、パニックを引き起こす可能性がある」と予測しました。
専門家は、東京はすでに忙しい他の市場でガスを購入することになるだろうとしています。
これより以前には、ロシア大統領府のぺスコフ報道官はこの大統領令によって直ちに天然ガス供給が停止されることはないとの認識を示していました。
一方で読売新聞によれば、日本政府は、ロシア側が今後「サハリン2」をめぐり、日本企業に対して契約に違反するなど不当な要求をした場合、ロシア側に抗議し、是正などを求める方針ということです。
日本外務省の幹部は「日本企業との契約は守ってもらう必要がある」と語ったとされています。
日本政府内では、「サハリン2」に続き、「サハリン1」や漁業関連の協定などについても、一方的な措置に踏み切る可能性があるとの見方が出ていると、同紙は指摘しています。
また同紙は、木原官房副長官が1日、「サハリン2」に関して「わが国の資源にかかる権益が損なわれることがあってはならない」と発言したとしました。
「サハリン2」の事業会社「サハリン・エナジー」には、ロシア国営天然ガス独占企業「ガスプロム」が約50%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%それぞれ出資しており、天然ガス生産量の約6割が日本向けとなっています。