米で若者の自殺が危機的状況に
米紙ニューヨーク・タイムズが、同国の若者の間に広がる自殺を、危機的で破壊的な状態だと評し、「自殺防止センターは、この危機に対処できる十分なスタッフや資金を有していない」と報じました。
ニューヨークタイムズはこの報道において、「全米規模でのメンタルヘルス対応用の新しい電話窓口として、ダイヤル988が導入されたものの、予算と相談に応じるスタッフ、および増加する問い合わせに対処するこのセンターの準備態勢についてはいまだに疑問が提示されている」と報じています。
また、「連邦政府から4億ドルの財政支援を受けて立ち上げられたこの相談用窓口は、アメリカにおける精神疾患の増加傾向に対処することになっている」としました。
そして同時に、この対応センターの現在のスタッフ数は、これらの病気の増加率つまり電話相談件数の増加にはとても対応できるものではないと報じています。
同紙によると、2022年前半に精神的支援を求める50万件の相談が寄せられたものの、これらの相談メッセージのうち、センターによる回答がなされたのは全体の約42%のみだったということです。
そして、米調査会社・ランド研究所によって行われたある調査を論拠に、「988ホットラインの立ち上げに参加した米国の保健当局の関係者のうち、自殺予防センターが増加する電話に対応する準備ができていると確信しているのは半数未満だ」としています。
続けて、米保健福祉省長官の話として、アメリカの若者の精神疾患の現状を「壊滅的」だと評価し、「自殺は、2020年における各年齢のアメリカ人の死因で12番目に多い」としました。
最後に、CDC米疾病予防管理センターの話として、「自殺は10-14歳と25-34歳のアメリカ人の間で2番目に多い死因であり、それによれば、2020年には11分ごとに1人のアメリカ人が自殺している計算になる」と報じています。