ボレルEU上級代表、「米の対イラン政策・”最大限の圧力”は失敗」
EUのボレル外務安全保障政策上級代表が英紙のコラムにおいて、アメリカがイランに対し行った「最大限の圧力」政策は失敗したことを認めました。
制裁解除を目指すウィーン協議の第8ラウンドは、2021年12月27日に開始しましたが、ボレル上級代表の提案によって2022年3月11日から休止期間に入り、各国の交渉担当官も本国との相談のために帰国しました。それ以降、アメリカがイランおよび核合意に対し自国の違法行為の補償について決定を遅らせているため、ほぼ行き詰まりの状況にあります。
実際のところ、アメリカのバイデン政権がトランプ前政権によるこの失敗した政策を批判するのとは裏腹に、それを変えるつもりがなく、核合意復活とアメリカの復帰の条件がイランへの利益保証にもかかわらず、効果ある制裁解除およびイランへの保証提示を受け入れていないために、ウィーン協議は停止されたのです。
ボレル上級代表は、26日火曜に発行されたフィナンシャル・タイムズのコラムで、対イラン制裁解除を目指すウィーン協議について、「核合意の完全な履行は、トランプ米前大統領による合意離脱と、それに続く一方的な”最大限の圧力”政策の影響を大きく受けた」としました。
その一方で、「最大限の圧力は失敗した」と指摘しました。
また、残った参加諸国は核合意の維持に努めたと主張して、「イランの人々は、制裁解除による完全な利益(を享受する機会)を奪われた」としました。
続けて、ウィーンでの制裁解除を目指す協議の牽引に向けて自身が努力を重ねているとして、「ウィーンでの15ヶ月にわたる集中した建設的協議、および合意参加諸国と米国との無数のやり取りの末、追加での重大な妥協を求める空気は終わったと、私は結論付けている」と説明しました。
イランの見地からは、半永続的な合意の成立を確定的にすることができるのは、効果のある制裁解除および、合意から得られるイランの利益の保証です。そこからイランは、協議が結果に結びつくためにも、必要な提案やイニシアチブを示しているのです。