チリで国民投票が実施、新憲法草案は反対が6割超で否決
9月 05, 2022 15:09 Asia/Tokyo
南米チリで、新憲法案が国民投票で有権者全体の6割強の反対により否決されました。
ロイター通信が4日日曜、チリの首都サンティアゴから報じたところによりますと、チリで4日、新憲法草案の是非を問う国民投票が行われ、開票率99.74%時点で反対が62%近くとなり否決が決まりました。
賛成派の広報担当は敗北を認める一方で、新憲法を制定して国民の負託に応じる必要がなおあると強調しました。
チリでは、社会格差拡大で閉塞(へいそく)感が強まっていた2020年10月に新憲法制定の是非に関する国民投票が行われ、このときは賛成派が80%近くに上り、承認されていました。
現行憲法はクーデターでアジェンデ社会主義政権を倒し、非合法的に権力を奪取したピノチェト軍政を「法治国家」として内外に認知させるのが目的とされ、幾度かの改正を経たものの、根本的には軍政継続を想定し正統性に疑問が呈されていました。
新憲法草案は19年終盤の激しいデモを受けて作成され、社会的権利や環境保護、ジェンダー平等、先住民の権利を重視する内容となっており、ピノチェト軍事政権下に制定された市場寄りの現憲法に比べ、進歩主義の色合いが濃くなっています。
新憲法の制定を後押ししてきた左派のボリッチ・チリ現政権にとっては、この結果は打撃となります。
今回の結果を受け、ボリッチ大統領は近く閣僚を刷新し、政府は新たな憲法草案の作成に取り組む、とする一方で、「国民の間にたまっている怒りを無視するわけにはいかない」と述べました。
なお、草案否決を推進した中道左派と右派の政党も、新たな草案作成に向け交渉に応じる考えを示しています。