英新首相・トラス氏とは? その思想や課題に迫る
英ジョンソン政権で外相を務めていたリーズ・トラス氏(47)が、現地時間の5日月曜午後、保守党党首に選出され、6日火曜、正式に首相に就任しました。
トラス氏は、ジョンソン前首相と同じような思想を持つ、同首相の支持者とみなされています。
トラス氏はイギリス史上3人目の女性首相となり、何ヶ月にもわたるスキャンダルにより支持率を下げた挙句、去る7月に辞任を余儀なくされたジョンソン氏の後任となります。
アナリストらは、トラス新首相が直面する最も重要な課題として、さまざまな分野でのロシアと西側の対立の激化、ウクライナでの戦争、経済危機、特にインフレとエネルギー価格の高騰、スコットランドの独立問題を挙げています。
英国での世論調査結果によりますと、同国民全体の半数がトラス氏の首相選出に不満を持っており、67%がトラス内閣を信頼していないことが判明しています。
さらにこの調査からは、トラス新首相の経済計画や公約実現能力を信頼しているのは、イギリス国民のわずか19%にとどまっていることが明らかになりました。
ロンドン市長のサディク・カーン氏も、エネルギー価格の高騰により国内の各家庭が3度の食事もまともに取れなくなっていることを指摘し、「トラス氏は国家的危機の最中に首相に就任することになった。現状は2008年のリーマンショック以来の前代未聞の状況だ」と語りました。
カーン市長は「トラス氏はジョンソン氏と同様、今のところ党の目標達成や意見集約に終始している」として批判しています。
ジョンソン氏は退任演説において、イギリスが現在経済難に、またヨーロッパがエネルギー危機に瀕していると強調しました。同時に、国内の分断やスコットランドの独立問題にも触れています。
英スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン第一首相は、トラス氏に対し、スコットランド独立派の勝利に対して「規則を強化」しようとする今後の試みに対して警告しました。
保守党党首選期間中、トラス氏はスコットランド独立に関する新たな国民投票は実施しないと述べています。
一方のスタージョン氏は、スコットランド独立の是非を問う第2回住民投票は、来年の10月に実施されるとしています。
ペスコフ露大統領府報道官は5日月曜、「(新しい英国政府に)前向きなことは全く期待できないと思う」と語りました。
トラス氏はこのほかにも、必要があれば核の発射ボタンを押す用意があると表明しました。
ロシア・スプートニク通信によりますと、トラス氏は党首選期間中に英バーミンガムで行われた演説で、核発射の決定を下す必要が生じた場合、どう対応するかとの質問に対し、「これは首相の重要な責務であると考える、私はこれを行う用意がある」と発言しています。
トラス氏はまた、英紙テレグラフに寄せた記事の中で、首相に就任した暁には、ロシア政府の活動に関する諜報データをより多く公表することで、その政策に対峙する、という姿勢を表明しました。
イギリスは核兵器を保有する国のひとつで、2005年時点で100発以上の核弾頭を保有していたというデータがあります。