米労働者、コロナ禍で勤労意欲低下 後遺症による勤続不能も
米調査会社ギャラップの世論調査によると、同国の労働者1万5000人のうち約半数が仕事に意欲を失っていることがわかりました。
米ウォールストリート・ジャーナル紙によりますと、ギャラップ社は今年6月に正規・非正規あわせて1万5000人余りの米労働者を対象に調査を実施しました。その結果、ほぼ半数が与えられた仕事はこなすものの、熱意は持ち合わせていない「静かな退職者」(quiet quitters)に該当することがわかりました。
「静かな退職者」とは、仕事を辞めるわけではないものの、熱意や意欲に乏しく、求められる最低限の成果しか出さない労働者を指す言葉で、コロナ禍以降の米国で社会現象となりつつあります。
ギャラップ社のチーフサイエンティストを務めるジム・ハーター氏は、静かな退職者が増えている背景として、コロナ禍の2年間でリモートワークが増えたことで、労働者が職場の上司や同僚とのコミュニケーションから隔絶されたことが要因と指摘しています。
ギャラップ社はまた、特に35歳以下の若年層で静かな退職者の増加が顕著だとしており、上司が週に1回はそうした若手とのコミュニケーションの機会を持つことを勧めています。
もっとも、子育てなどでリモートワークを勤務条件として求める労働者も数多くおり、企業側は社員にどこまで出社を命ずるべきかジレンマを抱えています。
一方、新型コロナ感染による後遺症で、そもそも身体的に働くことができない人も増えています。米ブルッキングス研究所が先月末に発表した報告書によると、米国内で最大400万人がコロナ後遺症のため働くことができない状態にあるということです。
CNNによりますと、同報告では、米国の労働人口(18~65歳)のうちおよそ1600万人がコロナ後遺症を患っているとされています。このうち勤務不能とみられるのは200万~400万人で、300万人とした場合、その数は米国の労働力全体の1.8%にあたります。
また、300万人が勤務不能とされることによる経済損失は年間約1680億円と試算しています。米国では6月時点で1070万人の労働力が不足しているとされています。