10月 03, 2022 14:42 Asia/Tokyo

エリザベス女王の崩御に伴い即位したばかりのチャールズ新英国王に、早くも試練が押し寄せています。

フランス通信によりますと、先月死去した英国のエリザベス女王をたたえる言葉があふれる中、国内の黒人社会からは「女王は私たちのために何をしてくれたのか」と問う声が多く上がっています。

英国の植民地時代の負の遺産に対する批判は今なお絶えず、この問いは、国王チャールズ3世にとって早くも試練としてのしかかっています。

女王死去の翌日、英バーミンガム大学のケヒンデ・アンドリュース教授(黒人研究)はニュースサイト「ポリティコ」への投稿で、国を挙げての喪失感を自分は共有できないと主張し、「大英帝国の子どもたち、ここで生まれた人たち、英連邦15か国に生まれた人たち」にとって、女王は白人至上主義の象徴の頂点だと評しました。

人種差別の問題は「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動で活発化し、英王室もやり玉に挙げられました。その最たる例が、2020年に王室を離脱したヘンリー王子とアフリカ系米国人の母を持つ妻メーガン妃からの、人種差別を受けたとする非難です。

さらに、ウィリアム皇太子夫妻が今春行ったカリブ海諸国歴訪は、植民地主義の表れだと各方面から批判され、奴隷制について謝罪を求められた他、英王室は償うべきと抗議を受けました。

英国の黒人史を研究した「Black and British: A Forgotten History(黒人と英連邦民:忘れられた歴史の意)」の著者デービッド・オルソガ氏は、英紙ガーディアンへの寄稿において、「歴史家は後世に、あの歴訪をポストエリザベス女王時代の始まりを示す最初の前兆として振り返るかもしれない」と述べています。

また、英連邦では「民衆が帝国主義と奴隷制の現実と遺産に目覚めた」にもかかわらず、王室は「意識の変化」を認識・理解することができなかったと指摘しました。

そのような中でチャールズ国王は、本国以外に英連邦14か国の君主にも即位した形となり、それらの国には遠くカリブ海で英国の奴隷貿易によって搾取された国々も含まれます。

そうした国は56か国にもおよび、その多くは英国の旧植民地で、総人口26億人の大半は非白人で30歳未満となっています。

人種差別と植民地主義に関する未解決の問題は、チャールズ国王が英連邦56か国の長を引き継ぐに当たり、いっそう重要な意味を持つことになります。

 


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