視点
中ロ・イランの緊密な関係に眉をひそめる米
シャーマン米国務次官は、「ロシアとの友好関係に関する中国当局者の声明は、米国内で懸念を引き起こしている」と表明しました。同次官はこの発言に加えて、「アメリカとして、日増しに高まるイランとロシアの関係も懸念している」と語りました。
アメリカ政府は、中露両首脳が両国友好関係に関する共同声明を発表する予定であり、これは米国にとって懸念材料だと考えています。シャーマン国務次官は15日水曜、同国のシンクタンク・ブルックリン研究所での会合において、「中国はロシアとのパートナーシップを約束しており、我々は確実にそれを懸念するとともに、このパートナーシップと、ウクライナ戦争における中国による対露支援を危惧している」と語りました。
プーチン・ロシア大統領と習近平・中国国家主席は2022年2月、両国間の友好関係に国境はないとした共同声明に調印しています。またこの声明では、「世界は現在すでに大規模な変化を目の当たりにしている。人類は急速な発展や大規模な変貌という新時代に突入しており、それには多極化、経済のグローバル化、情報化社会の構築、文化の多様性および、国際支配体制や国際的秩序の変化が含まれる」と明言されています。
ロシアと中国は2つの重要な世界的大国として近年、協力拡大のための重要な措置を講じ、米国の独りよがりな一極主義的な政策と行動に対抗して団結した立場を取るとともに、新しい国際秩序の基礎として多国間主義の採用を要求しています。
中国とロシアはまた、世界の情勢と国際体制の現実が多極システムの潮流を証明していると信じていますが、アメリカは特にトランプ前大統領時代において、一極システムの維持や、世界の警察としての役割を果たすための努力に執着し、一極主義を通じた自らの目標と欲望の達成を追求してきました。
両国の高官は、二国間関係を可能な限り発展させ、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカからなるBRICSを象徴する新興世界大国間の協力の強化を望んでいます。
ロシアと中国は現在、経済通商、軍事および安全保障、武器、政治および外交の分野で広範な関係を確立しています。同時に、この両国がSCO上海協力機構やBRICSといった地域・国際組織に参加していることは、様々な舞台でのアメリカの侵略的行動や西側の覇権への対抗や問題解決に向けた地域・国際的な協力の強化の必要性に関する同じアプローチを示しています。アメリカのシンクタンク・大西洋評議会のメンバーであるマシュー・クローニグ氏は、「中国とロシアは、戦略的問題に関する立場をますます一致させている」と語りました。
シャーマン米国務次官が懸念を表明したもう1つの問題は、イランとロシアの関係拡大です。アメリカは特に過去1年間において、中でも無人機に関するイラン・ロシア間の軍事・武器関係の拡大および、両国の緊密な関係に関して多くの主張を提起しました。これに先立って、アメリカはイラン・中国の関係拡大においても懸念を主張してきました。
この問題は、これら2つの世界的大国を21世紀における最も重要な脅威だとみなすアメリカの見解、ロシアと中国への対処の必要性、および西アジア地域におけるアメリカの同盟国の政策に対する挑戦としてイランを提示していることを考慮すると、理にかなっています。 実際、イラン、ロシア、中国は、米国主導による西側諸国の覇権と世界支配への対抗や国際体制を変える必要性、多国間主義による多極秩序の形成という分野で共通のアプローチを持っています。これら3カ国のこうしたアプローチにおいては、多極主義の徹底が求められるとともに、一極主義、特にアメリカを筆頭とする西側の価値観と規範を押し付けようとする試みが排除されるべきだとみなされています。
ここで忘れてはならないのは、中国とロシアに対するアメリカの最も重要な批判の焦点の1つが、アジアとユーラシアのこの2つの国がリベラルな国際秩序の変貌を狙っていることにあるということです。これらの要素の組み合わせは、ロシアに対するアメリカの敵意の日増しの増大につながっているのです。